デザイン・アート・広告賞 今月の展覧会&コンペティション
福島アートアニュアル2023 境界を跨(また)ぐ ー村越としや・根本裕子
一貫したモノクロームの写真で、福島の景色の一場面を撮影する村越としや。陶土によって、野性味あふれる野良犬を形づくる陶芸家の根本裕子。静謐な写真群はその中に何かが潜んでいそうな独特の空気を感じさせ、普段目にしない異質な野良犬たちは緊迫した雰囲気を放つ。鑑賞を通じ、「目に見える何かと見えない何か」「実像と虚像」といった異なる2つの境を行き来することで、何かの「気配」を自身の中で感じ取るような体験が味わえる。
福島アートアニュアル2023 境界を跨(また)ぐ ー村越としや・根本裕子 | |
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福島県立美術館 |
光岡幸一展 「ぶっちぎりのゼッテー120%」
リサーチに基づいたプロジェクトベースの作品を、インスタレーションやパフォーマンス、写真、ドローイングといった手法を使って制作してきた光岡幸一。今回のタイトルは、光岡がアルバイト先で倉庫整理中に見つけたメモ帳に書かれていた一節から。本展覧会では“銀座の地下”というガーディアン・ガーデンの立地をキーワードに、新作インスタレーションを展示。開館から22年の時間、2023年8月に閉館するガーディアン・ガーデンの空間から立ち上げるものは何か。
光岡幸一展 「ぶっちぎりのゼッテー120%」 | |
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ガーディアン・ガーデン |
挾土秀平「土に降る」
左官職人の2代目として岐阜県高山市に生まれた挾土秀平。土・砂・石灰・藁など、自然素材の質感や色を活かし、ストーリーのある壁を制作。ザ・ペニンシュラ東京、アマン東京のほかNHK大河ドラマ『真田丸』の題字・タイトルバックも手がけた。
本展では、日本の伝統的な技術である左官に注目し、「土」「水」「光」といった自然とつながる美意識を倉庫の空間全体で表現する。今回のために制作した3点の新作のほか、500平米の倉庫の床を「土」で覆った独自の世界観を通じて、進化を続ける挾土の今を体験することができる。
挾土秀平「土に降る」 | |
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寺田倉庫 |
トンコハウス・堤大介の「ONI展」
ピクサー出身の堤大介とロバート・コンドウ率いるアメリカのアニメーションスタジオ「トンコハウス」によるONI展。2022年10月、堤が監督を務める初の3DCG長編アニメーション『ONI〜神々山のおなり』がNetflixで公開された。古くから日本で描かれてきた「鬼」を題材に、森に暮らすユーモラスな妖怪や神々たちが、誰の心にも潜む恐れと向き合いながら成長する様子を描いた。
トンコハウスが得意とする「美しい自然描写」「光や陰影の映像美」で、日本人に語り継がれてきた鬼や妖怪、神々の物語を現代に贈る作品だ。映像や言葉、音や光の演出に民俗資料を融合させたスペクタクルな展示空間で、自宅やデスクトップだけでは味わえない没入感を実現する。
トンコハウス・堤大介の「ONI展」 | |
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PLAY!MUSEUM |