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セレクト10

現代のやきもの 思考するかたち 菊池コレクション展 ほか今月の展覧会

デザイン・アート・広告賞 今月の展覧会&コンペティション

現代のやきもの 思考するかたち 菊池コレクション展

和田的《表裏》2017年(撮影:尾見重治、大塚敏幸)

やきものといえば、一般的には食器のような形を真っ先に想像することだろう。しかし、現代の陶芸作品には器以外にも多彩な形があり、その形を成り立たせている背景に思いを巡らせると、そこには作家の思考が存在していることがわかる。

本展では当館創立者菊池智(1923-2016)のコレクションの中から、器らしい形に魅力を見出した作品、器の形や制作過程を踏襲しながらもその範疇に収まりきらない作品、さらに土を用いた自由な創作としての抽象的な作品を一堂に展示することで、現代陶芸の形の豊かさと、その根源にある作家の創意に迫る。

現代のやきもの 思考するかたち 菊池コレクション展

菊池寛実記念 智美術館
2023年1月3日~3月19日
月曜(2023年1月9日は開館)、1月10日休館
お問い合わせ→ 03-5733-5131

遊びの美

重要美術品 桜下蹴鞠図屏風(右隻)
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

玉藻前物語絵巻(部分) 2巻のうち下巻
日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵

曽我物語図屏風(右隻)
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

歴史に目を向けてみると、公家が和歌の上達につとめた歌合や家の芸にまで高めた蹴鞠、武家が武芸の鍛錬として位置づけた乗馬や弓矢など、それらは単なる遊楽ではなかった。遊びは、人が楽しみながら社会の中でよりよく生きる術を身につける手段であり、日々の暮らしに潤いを与え、生きる上で欠かすことのできない存在なのだ。

本展では文化としての遊びの諸相を、館蔵の絵画や古筆、なかでも屏風を中心に紹介。新春を迎えるにふさわしい、華やかな金屛風の競演をあわせて楽しむことができる。

遊びの美

根津美術館 展示室1・2
開催中、2023年2月5日まで
月曜(2023年1月9日は開館)、12月26日~2023年1月4日、1月10日休館
お問い合わせ→ 03-3400-2536

面構(つらがまえ) 片岡球子展 たちむかう絵画

片岡球子は、1966年から、足利尊氏や葛飾北斎など多くの歴史上の人物を独自の解釈で表現した「面構」シリーズを始めた。「面構は顔だけを描いているだけではなく、その人間が現代に生きていたらどんな風に役立つかなどと、思いながら描いています」という片岡の言葉にあるように、単に歴史上の人物の肖像ではない。人間の「魂」を描きたいと考えた片岡が取り組み続けた作品だ。綿密に取材・推敲を重ね確信をもって血肉のある人間に仕立てあげている。

本展は、迫力ある「面構」シリーズ42点と初公開の小下図、「面構」の出発点から最後の作品までを展示する初めての展覧会である。片岡が生涯をかけて挑んだ「面構」──「たちむかう絵画」から、日本画の持つ力と新たな可能性を感じられるだろう。

面構(つらがまえ) 片岡球子展 たちむかう絵画

そごう美術館
2023年1月1日~29日
会期中無休
お問い合わせ→ 045-465-5515

星野道夫 「悠久の時を旅する」

《アラスカの原野に生きる 狩猟民族の古老ピーター・ジョン》撮影:星野道夫 ©Naoko Hoshino

《クジラの肋骨が立つ浜 ロシア、チュコト半島に近いイティグラン島》 撮影:星野道夫 ©Naoko Hoshino

少年の頃から北の自然に憧れ、極北の大地アラスカに生きた星野道夫。取材中に事故で亡くなり、25年以上を経た現在においても、心打つ大自然や動物の写真と美しい文章で、多くのファンを魅了している。北極圏の大自然、そこに息づく野生動物や人々、そして語り継がれた神話……星野は多くの「出会い」を通じて思索を深め、写真家として成長していった。

本展では、20歳のときに初めて足を踏み入れたアラスカの村の記録から、亡くなる直前まで撮影していたロシアのカムチャツカ半島での写真までを一望すると同時に、貴重な資料展示を交え、旅を終えることなく急逝した星野の足跡を辿る。

星野道夫 「悠久の時を旅する」

東京都写真美術館
地下1階展示室(恵比寿ガーデンプレイス内)
開催中、2023年1月22日まで
月曜(祝日の場合は翌平日)、12月29日~2023年1月1日、1月4日休館
お問い合わせ→ 03-6427-2806

相馬博 悠久と星霜の彼方

《光と色の在処》 2019年 アクリル絵具・キャンバス 撮影:森田直樹

繊細な色のグラデーションで生命のきらめきや儚さを表現する現代美術家 相馬博(武蔵野市在住)。表現を模索していくうちに、「東京に生まれ育った自分にとって、目に映る風景とは真上に見える青空や雲、太陽、月、夜空の星々だった」という幼い頃から目にしてきた空の光をモチーフとした抽象画へと辿りつく。何十層にも絵の具を重ねることによって生まれる深みのある色彩と、光の屈折を利用しながら重層な奥行き・広がりを見せる作品は、抽象的でありながら、万人共通で思い描く宇宙を浮かび上がらせ、広大な空間の広がりを感じさせる。

また、画面の表面に何度もニスを塗り...

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