ディオールと日本の真摯な関係と創造性
クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ
パリ装飾芸術美術館に続き、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館や上海のロング・ミュージアム(西岸館)、ニューヨークのブルックリン美術館など世界各地で開催されてきた大型展覧会が日本に巡回。
日本文化へのオマージュとして新しい空間演出を担当するのは、国際的な建築設計事務所OMAのパートナーである建築家の重松象平。展示はフロランス・ミュラーのキュレーションにより再考案された。
創設者クリスチャン・ディオールが影響を受けた芸術や彼の庭園に対する愛、豪華な舞踏会の魔法、コレクションに影響を与えていた日本の豊かな創造性との関係など、その多くが初公開となる貴重なアーカイブ資料によって75年を超える創作への情熱が多様な側面から映し出される。
「ニュールック」の永遠の象徴である「バー」スーツをはじめとした現在までのアクセサリーやオートクチュールモデルの数々。そして歴代のクリエイティブディレクターたちが考案した作品が公開されるほか、東京都現代美術館が所蔵する貴重な作品や、写真家の高木由利子が本展のために撮り下ろした写真も展示される。

©Yuriko Takagi
クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ | |
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開催中、2023年5月28日まで 東京都現代美術館[東京・江東区] |
工芸とデザインをめぐる旅のような出合い
工芸館と旅する世界展 ―外国の工芸とデザインを中心に
世界各国の工芸家やデザイナーの作品収集も行う国立工芸館。本展ではこれまで一堂に展示する機会が少なかった国際色豊かなコレクション約100点を紹介。フランスのポスターやアール・デコ期の工芸品、ドイツのバウハウスで活躍した作家たちの家具やデザインなど、国や時代のテーマごとに作品の魅力を紐解く構成となっている。
ルーシー・リーやマルセル・ブロイヤー、里見宗次など、国という境界によって自らのアイデンティティに影響を受けてきた作家の作品も多く、その作品は混迷の時代を生きる私たちの道しるべにもなるだろう。

アルド・ロンティーニ《リッコリーナ》1987年 国立工芸館蔵 撮影:野村知也

ルース・ダックワース《無題 No.706201》2001年 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティ フォト

マルセル・ブロイヤー《サイドチェア》1936年頃 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティ フォト

ロスマリー・ティッシ《エングラーザッツ(写植会社)》 1983年 国立工芸館蔵
工芸館と旅する世界展 ー外国の工芸とデザインを中心に | |
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開催中、2023年2月26日まで 国立工芸館[石川・金沢市] https://www.momat.go.jp/cg/exhibition/embarking-on-a-trip-around-the-world-at-the-crafts-museum/ |
グラデーションの中にみる、現実のあり方
多層世界とリアリティのよりどころ
メタバースやミラーワールドといった仮想空間や現実空間をデジタル化した鏡像世界が現実のものとなり、実装されつつある現代において、私たちはリアルとバーチャルが共存する世界を生きている。
たとえば、現実世界の建築が仮想世界でのシミュレーションに基づいて設計されるなど、仮想世界が現実を模倣するだけではなく、現実が仮想世界から触発されるという現在の多層世界に明確な区切りはなく、無数のグラデーションが広がっている。
誰もがもうひとつの現実としてシームレスに拡張世界を持てるようになるであろう未来の多層世界時代に、現実のあり方はどう変化するのか。本展ではこれからのリアリティのあり方に着目。
内田聖良、柴田まお、たかはし遼平、谷口暁彦ら参加アーティストの作品の一部はオンライン・プラットフォームでの体験が可能となっている。

柴田まお《Blue mask》2022年 撮影:Hayato Wakabayashi

藤原麻里菜《オンライン飲み会緊急脱出マシーン》2020年

内田聖良《バーチャル供養堂》2022年

たかはし遼平《並行植物調査》2021年 撮影:竹久直樹
多層世界とリアリティのよりどころ | |
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開催中、2023年3月5日まで NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)[東京・新宿区] |