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デザインの見方

誰もが手に取れる、他者と繋がるインフラとしてのデザイン

福岡南央子

01 福建茶叶进出口「茉莉花茶(袋泡茶)」。
02 蝴蝶牌「中國茉莉花茶」。

03 SCジョンソン社のシューケアブランド「KIWI」の「シューシャインキット」。
04 キユーピー「キユーピー マヨネーズ」。
05 イワキ「タイガーバーム(19.4g)」。

※一部当時のデザインからの変更あり。できるだけ近いものを掲載しています。

幼い頃の私にとって、スーパーマーケットは忙しく見て回る場所でした。お菓子や加工食品、日用品など、あらゆる商品を隅から隅まで見て回り、「これは素敵」「これは嫌い」と勝手に品定めをして。「この色が本当に嫌なので変えたい」などと、想像を膨らませたりしていました。

あの頃は「パッケージ」や「デザイン」という用語を知っていたわけではないのですが、後々グラフィックデザインの方に進むことに繋がっていたのだと思います。限られた人が特殊な場だけで触れられるデザインではなく、誰もが日常的に見て触れて持ち帰ることができるものにこそ、きちんとデザインが行き届いてほしい。そうすることで多くの人が無意識のうちに生活の質を向上できるのでは。そんなふうにデザインを意識し始めたように思います。

私は神戸で生まれ育ちました。神戸には海外からの移住者も多く、彼らが生活や商売をして根付いた文化がさまざまに見られます。多様な文化に触れて、それを良い悪いとジャッジするのではなく、それぞれの文化としてそのまま受け入れていくようになりました。

そんな幼い頃の日常の中に、強く惹かれるものがありました。ロシアやドイツのお店や食料品、中国の雑貨やお茶、インドの食文化など、海の向こうからやってくるもの。それぞれの色彩や...

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