
一次審査員[プランナー]

電通 zero
コピーライター/プランナー
有元沙矢香(ありもと・さやか)
1985年兵庫県西宮市出身。主な仕事は、テレビ朝日&東宝『君の名は。』地上波放送、朝日放送M-1グランプリ、サントリーBOSSカフェベース「キッチリ夫とテキトウ妻」、Netflix韓国ドラマ「ハマるのは、深いから。」、JUJU MV『東京』『奏』など。
人がその映像をどう伝えたくなるか?まで考える
Q1. 若手の頃に「成長につながった」と感じた経験を教えてください。
初めて制作したMVがJUJUさんの『いいわけ』でした。JUJUさんのMVは本人の歌唱姿ではなく、楽曲の魅力を映像表現で伝えるものが多いので、幸い広告的な考え方でつくることができました。恋愛の切なさに苦しむ歌詞が特徴的だったので、周りの人たちに歌詞を見せて、思い浮かんだリアル恋愛エピソードを集め、ひとりの主人公像をつくりました。こんなにも切ない主人公を描けるのは矢沢あい先生しかいないと思い、お願いに伺った日のことが今でも忘れられません。大好きな漫画家さんとやりとりするプレッシャーから、限られた予算、スケジュールで最善の表現を模索する力がついたと思います。
Q2. ご自身が企画をする上で意識しているポイントは。
ひとつは、企画のどこを面白がってもらうかを一言で言えるようにすること。ちょうど先述の『いいわけ』のMVの頃からTwitterがオンライン動画の入り口になってきていたので、人がどんな風にこの動画を伝えたくなるかを意識して考えていました。「矢沢あいの漫画がJUJUのMVで読める」を核にすると、歌詞は漫画のようにレイアウトするのが良さそうとか、そこに向かってアイデアの取捨選択もしやすくなるので、ずっと意識していることです。あとは、最後まで粘ること。SEひとつで面白さが格段に変わることもあるので、最後の最後までもっと良くできないかは考え続けます。
Q3. 動画制作を進める応募者にメッセージをお願いします。
去年初めて審査に参加したのですが、アイデアの破片は面白そうなのに何がやりたいのかわからなくなっているものが多く、もったいないなと感じました。この企画はこれをやりたいんだ!というアイデアの核をしっかり定めて、そこを研ぎ澄ますようにつくるといいと思います。

博報堂
クリエイティブディレクター/コピーライター
CREATIVE TABLE 最高
小島翔太(こじま・しょうた)
デジタル、CMにかかわらず人が反応したくなる企画を目指す。SMBC日興証券「おしえて!イチロー先生」、日清のどん兵衛「どん兵衛ポエム」「どんぎつね写真集」、資生堂 レシピスト「たおりゅう」、大塚製薬 カロリーメイト「夏がはじまる。」「二○二○年、夏、部活。」など。TCC新人賞受賞。
主観的に見て「面白い」か、客観的に見て「伝わる」か
Q1. 若手の頃に「成長につながった」と感じた経験を教えてください。
さまざまな広告賞やコンペに出品し続けたことです。実際の仕事で自分が納得できたり、褒めてもらえたりする仕事がなかなかできない悔しさを、コンペでの制作にぶつけていました。
同期を誘って休日を使って作業をして、結果的に賞に引っかからなかった時は、もちろんとんでもない無力感と虚無感に包まれます。ですがひとつのお題からたくさんの切り口を考えて選び、定着させるという一連のフローをたくさん経験したり、受賞作と自分たちの企画を見比べながら反省をしたりと、反骨心をためていたあの時期の経験が、今に活きているなと思います。
Q2. ご自身が企画をする上で意識しているポイントは。
見られる価値があるものなのか、を強く意識しています。コンペでは全ての企画を審査員がじっくり見てくれますが、実際の仕事ではそうはいきません。そのため世の中のあらゆるコンテンツや情報に囲まれた中で、この広告にそもそもどうやったら生活者の方々が触れてくれるのか、触れたときにどう感じてもらえるのか、という部分を忘れてエゴで企画をしてしまわないように意識しています。
一方で、エゴで突き抜けているように感じる企画を見ると強く憧れます。
Q3. 動画制作を進める応募者にメッセージをお願いします。
去年もこのコメントで書きましたが、BOVAに向けて制作してきちんと提出しているだけで、本当に素晴らしいです。
周りの声よりも、自分が主観的に面白いと信じることを形にしてほしいのと同時に、それが客観的に見て伝わるかどうかという視点を最後には意識してほしいです。