9月23日、武雄温泉駅(佐賀)~長崎駅間を走る西九州新幹線「かもめ」が開業した。演奏や歌を披露する「かもめ楽団」が結成され、有志の参加者が思い思いにその誕生を祝う「私たち、かもめ。」プロジェクトを実施した。
愛されるコミュニケーションを研究
JR九州は7月から8月にかけ、9月23日の西九州新幹線の開業に先がけた記念イベントを開催した。7月29日~31日(自由参加)には唐津東港、佐世保港、水辺の森公園(長崎港)で、さらに8月7日(応募必須)には西九州新幹線各駅で一般公募による「かもめ楽団」を結成したイベントを実施した。9月9日には4日間の様子を記録したスペシャルムービーやポスターを公開している。
「西九州新幹線は、日本一短い区間で運行するかわいらしい新幹線です。“地元新幹線”としてとにかく沿線の人々に愛されるコミュニケーションを研究しました」と本企画のコンセプトについて語るのは、ウミナリのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター 伊藤公一さん。「乗ってほしいより愛してほしい」を合言葉に、地元の人が参加して楽しめる村のお祭りのようなイメージでイベントを企画していった。
8月7日の西九州新幹線停車駅でのイベントでは、5駅それぞれ350~500人の募集に対して、最終的に全体で6927人が応募し、全ての駅で募集人員を上回った。電通九州コピーライターの山口泰尚さんは一連の反響について「プロジェクト自体は2021年末から進行していましたが、応募が集まるうちに地元の熱を感じ、プレッシャーにもなりました(笑)」と話す。
「かもめ楽団」として皆で演奏し、歌う曲を『Happy Birthday』にした理由を電通九州クリエイティブディレクターの北川譲さんは次のように説明する。「さまざまな案が出ましたが、最終的には音楽監督の福島節さんの案を採用させていただきました。“みんなが歌える曲”として、新しいまちの誕生と新幹線の誕生を祝うということにぴったりだと思います」。
当初、歌って踊って祝うという趣旨のイベントの開催には懸念点もあった。「コロナ下で、人々が盛り上がり方を忘れてしまってはいないか心配していました。映像では、そこで...