受験生に贈る100枚のメッセージ 関西学院大学法学部のオープンキャンパスの施策
高校生に、法学部の新しい価値を感じてもらうために。そして2日間で1万人以上が来校する場において、できるだけ多くの高校生とコミュニケーションを図るために。統一のメッセージはあえて設定せず、関学大OB、宣伝会議コピーライター養成講座OBを中心とした有志クリエイターそれぞれが、独自の視点でクリエイティブをつくり上げるという方向性を取りました。
UP TO WORKS
PHOTO:夢無子 Courtesy of Gucci
1947年に初めて登場したGUCCIの「バンブーハンドル バッグ」は、日本の竹を用いてつくられていました。だからこそ日本人ならではのストーリーテリングで、このGUCCIを代表するアイコンに新しい光を当ててみたいと思いました。GUCCIの竹取物語、という企画はとてもシンプルです。でも考えた瞬間に強烈に「観たい」と思いました。企画した人間が他の誰よりも「観たい!」と思える企画だけが、最後に強くなるような気がします。
日本最古の竹取物語を現代に再構築することや、物語を夜明けまでの「一夜の話」に再構成すること。「翁」を都市生活に疲弊した若い女性にすること。性愛とは違う「愛」を表現すること。企画と物語の構成はそれこそ一晩で考えましたが、そこから実現までは長い道のりでした。今回は日本人のクリエイターにこだわりたい気持ちがあり、長久允監督に電話をかけました。長久くんならアレッサンドロ・ミケーレのGUCCIの世界観に敬意を払いながらも、世界に対して今の東京のクリエイティビティを純度100%でぶつけてくれる確信がありました。
彼がGUCCIを撮ることについて「びっくりした」という声も多かったけれど、僕の中ではミケーレと長久くんには共通するサブカルチャーへの深い愛と、共鳴する色彩感覚があると思っていました(そして髪型も似ていた)。
音楽は渋谷慶一郎さんにお願いしました。アンドロイドやAIを用いた楽曲スタイルが古典の現代的な再解釈としてぴったりだったのもありますが、渋谷さんなら月の引力に翻弄される登場人物たちの「ものの哀れ」を存分にメロディに込めてくれるだろうと思いました。渋谷さんに電話した数時間後にはもう(つづく)の事務所で最初の打ち合わせをしたことを覚えています。そこからは、全カットに狂気のようなこだわりを込めてくれた長久監督と、キャストの満島ひかりさん、アオイヤマダさん、永山瑛太さんと一緒に毎日のように朝日を拝みつつ、純粋にクリエーションに集中することができました。
GUCCIにふさわしいものをつくるために、スタッフ全員がどこかに日本代表のような高揚感を持って仕事をしていた気がします。公開10日ほどでオウンドメディアだけでも数百万再生を超え、国内と海外から反響が届いています。なじみのない極東の国のフォークロアを下地にした、セリフも全て日本語の5分半を超える長尺映像が、これだけ観られ評価されたことが嬉しいです。
いうまでもなく、全ては東京とミラノオフィスのGUCCIの皆さまのクリエイティビティに対する深い理解と信頼があったからこそですが。細部まで美しいGUCCIのバンブーハンドル バッグ、ぜひ手に取ってみてください。
((つづく) クリエイティブディレクター 田辺俊彦)
https://www.youtube.com/watch?v=Kz7e-Q2Q9-4
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