GUCCI/バンブーハンドル バッグ
「Kaguya by Gucci」
テレビCM、Web動画、OOH
1947年に初めて登場したGUCCIの「バンブーハンドル バッグ」は、日本の竹を用いてつくられていました。だからこそ日本人ならではのストーリーテリングで、このGUCCIを代表するアイコンに新しい光を当ててみたいと思いました。GUCCIの竹取物語、という企画はとてもシンプルです。でも考えた瞬間に強烈に「観たい」と思いました。企画した人間が他の誰よりも「観たい!」と思える企画だけが、最後に強くなるような気がします。
日本最古の竹取物語を現代に再構築することや、物語を夜明けまでの「一夜の話」に再構成すること。「翁」を都市生活に疲弊した若い女性にすること。性愛とは違う「愛」を表現すること。企画と物語の構成はそれこそ一晩で考えましたが、そこから実現までは長い道のりでした。今回は日本人のクリエイターにこだわりたい気持ちがあり、長久允監督に電話をかけました。長久くんならアレッサンドロ・ミケーレのGUCCIの世界観に敬意を払いながらも、世界に対して今の東京のクリエイティビティを純度100%でぶつけてくれる確信がありました。
彼がGUCCIを撮ることについて「びっくりした」という声も多かったけれど、僕の中ではミケーレと長久くんには共通するサブカルチャーへの深い愛と、共鳴する色彩感覚があると思っていました(そして髪型も似ていた)。
音楽は渋谷慶一郎さんにお願いしました。アンドロイドやAIを用いた楽曲スタイルが古典の現代的な再解釈としてぴったりだったのもありますが、渋谷さんなら月の引力に翻弄される登場人物たちの「ものの哀れ」を存分にメロディに込めてくれるだろうと思いました。渋谷さんに電話した数時間後にはもう(つづく)の事務所で最初の打ち合わせをしたことを覚えています。そこからは、全カットに狂気のようなこだわりを込めてくれた長久監督と、キャストの満島ひかりさん、アオイヤマダさん、永山瑛太さんと一緒に毎日のように朝日を拝みつつ、純粋にクリエーションに集中することができました。
GUCCIにふさわしいものをつくるために、スタッフ全員がどこかに日本代表のような高揚感を持って仕事をしていた気がします。公開10日ほどでオウンドメディアだけでも数百万再生を超え、国内と海外から反響が届いています。なじみのない極東の国のフォークロアを下地にした、セリフも全て日本語の5分半を超える長尺映像が、これだけ観られ評価されたことが嬉しいです。
いうまでもなく、全ては東京とミラノオフィスのGUCCIの皆さまのクリエイティビティに対する深い理解と信頼があったからこそですが。細部まで美しいGUCCIのバンブーハンドル バッグ、ぜひ手に取ってみてください。
((つづく) クリエイティブディレクター 田辺俊彦)
- 企画制作/(つづく)+ゴーストイッチ+ギークピクチュアズ
- CD+企画/田辺俊彦
- ST/小山田孝司
- ヘア/KENICHI、山本洋史
- メイク/YUMI ENDO、yoboon
- Pr/鈴木康生、早坂匡裕
- PM/小林拓路
- 演出/長久允
- 助監督/古田智大
- プロダクションアシスタント/杉浦亜門
- 撮影/武田浩明
- ドローン/田中道人、風間敏和
- 特機/斎藤麻希
- 照明/前島佑樹
- 美術/Enzo、後藤レイコ
- 編集/曽根俊一(オフライン)、泉陽子(オンライン)
- DIT/大舘悌介
- 特殊効果/田中裕二
- CG/二瀬具洋、成田大輔、高津直人、浮舌大輔(アニメーション)
- カラリスト/根本亘
- 英語字幕/Jo Allan
- サウンドデザイナー/沖田純之介
- 録音/久野貴司
- HM/YUKO
- ネイル/関根祥子
- プロダクションデザイナー/間野麗
- プロダクションCRD/Sandra Berghianu
- CAS/富岡萌
- 出演/満島ひかり、アオイヤマダ、永山瑛太
- 掲出(デジタルサイネージ)/東急田園都市線渋谷駅改札内(8/15~8/21)、東京メトロ日比谷線銀座駅改札外(8/22~8/28)ほか
- AD/間野麗
- Pr/佐藤憲将
- 撮影/夢無子
- レタッチ/Takuya Tsukane