3Dプリンティングをはじめ、デジタルデータをもとにした創作技術「デジタルファブリケーション」。これらは広告・デザイン領域の可能性をいかに広げていくのか。TOKYO2020の表彰台プロジェクトなどを手がけた、平本知樹さんが解説する。

TOKYO2020のエンブレム。

PARIS2024のエンブレム。
オリンピックと時代のテクノロジー
デジタルファブリケーション技術のうち、最も象徴的なツールである3Dプリンタは、この10年で高速化、大型化、高精度化が進み、「試作」から「製造」で使用される事例が増えてきました。そのひとつの事例が本連載でも以前に紹介した、TOKYO2020大会の表彰台でした。オリンピックのクリエイティブも紐解いてみるとその時の時代背景やテクノロジーを反映させたものであることがよくわかります。
TOKYO2020のエンブレムでは、オリンピックとパラリンピックが同じ数の四角形で表現され、デュアルエンブレムとも言われました。これはオリンピックとパラリンピックは、平和の祭典という意義からすれば違いはなく、両大会をつなげるという時代背景を反映させたものです。
また、1964年大会で開発されたピクトグラムはTOKYO2020大会においては、「動くスポーツピクトグラム」としてデザインされました。ソフトウエアの発達により実現できたものだと思いますが、この実装を担当した...