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TCC賞

TCC賞2022 審査委員講評

東京コピーライターズクラブ(TCC)による、2022年度TCC賞の各賞が発表となった。「アップデート」という審査方針を掲げた今回、どのような視点で入賞作が選出されていったのか。最終審査委員たちの講評から探ります。

2022年度TCC賞 受賞者リスト

グランプリ

  • 栗田雅俊(電通)
  • 田中直基(電通)
    サントリー/
    企業/TVCM他
    「あんなににぎやかなのに、みんなの声が聞こえる。
    今日もまた、笑って、語って。人生には、飲食店がいる。」
    ──
  • TCC賞

  • 麻生哲朗(TUGBOAT)
    さとふる/
    さとふる/TVCM他
    「飯塚:今から何かを始めるってことに臆病な俺がいる。
    角田:ただのふるさと納税でしょ?」
    ──
  • 古川雅之(電通関西支社)
  • 直川隆久(電通関西支社)
    大日本除虫菊/コンバット・ゴキブリがいなくなるスプレー・
    ゴキブリがうごかなくなるスプレー・
    ゴキブリムエンダー/新聞
    「いま、いいよね。一方通行の新聞広告」
    ──
  • 鈴木晋太郎(電通)
  • 姉川伊織(電通)
  • 三浦麻衣(電通)
    KDDI/
    UQmobile/TVCM他「彼女の名は、UQUEEN。」
    ──
  • 秋山晶(ライトパブリシティ)
    キユーピー/
    キユーピーマヨネーズ/カレンダー他
    「ハーブ そして、サラダは旅に出る。」
    ──
  • 山崎隆明(ワトソン・クリック)
    コインチェック/
    コインチェック/TVCM他
    「この『暗号資産といえば、コインチェック。』ていうの
    外してもらえないですかね?僕の顔見えないんで。」
    ──
  • 児島令子(児島令子事務所)
    ストライプインターナショナル/
    earth music & ecology/ポスター他
    「共感と反感は、仲間である。」
    ──
  • 多田琢(TUGBOAT)
  • 倉光徹治(TUGBOAT3)
    全国都道府県及び全指定都市/
    ロト6・ロト7・ナンバーズ/TVCM
    「香取:ようこそ数字の迷宮へ。売れないんじゃない?
    神木:売れますように。
    S:今日、いいことあるかな、なんて。」
    ──
  • 筒井晴子(電通)
  • 藤曲旦子(ドリル)
    大塚製薬/
    ポカリスエット/TVCM他
    「手をのばそうよ。届くから。」
    ──
  • 福部明浩(catch)
    大塚製薬/
    カロリーメイト/TVCM他
    「進もう、すべてを栄養にして。」
    ──
  • 三島邦彦(電通)
    Netflix/
    ブランド|『全裸監督シーズン2』/アドボード
    「上を見ろ、星がある。下を見ろ、俺がいる。」
    ──
  • 太田恵美(太田恵美事務所)
    サントリー/
    「素晴らしい過去になろう」プロジェクト/ポスター他
    「ぼくたちは、素晴らしい過去になれるだろうか。」
    ──
  • 三島邦彦(電通)
    本田技研工業/
    企業/新聞他
    「難問を愛そう。」
    ──
  • 福里真一(ワンスカイ)
  • 松井一紘(xpd)
    メルカリ/
    企業/新聞他
    「それ、新品じゃなくてもいいんじゃない?」
    ──
  • 秋山晶(ライトパブリシティ)
    キユーピー/
    キユーピーマヨネーズ/雑誌
    「あなたがつくる食べ物を料理という。工場がつくる食べ物は加工食品とよばれている。」
  • 2022年度TCC新人賞 受賞者リスト

    TCC最高新人賞

  • 中野仁嘉(博報堂)
    大塚製薬/
    カロリーメイト リキッド/アドボード
    「CONNECT a CIRCUIT 思考回路をつなげよう」
    ──
  • TCC新人賞

  • 花田 礼(電通関西支社)
    日清食品ホールディングス/
    カップヌードル/TVCM
    「好きな味をひとつ選んで、こうやって見てね!」
    ──
  • 杉井すみれ(電通)
    KDDI/
    <>au PAY/TVCM
    「高杉くん:『貯杉先生からの』貯杉先生:『“メッセージ”』」
    ──
  • 松尾 昇(九州博報堂)
    ダイショー/
    もやし鍋スープ&白菜鍋スープ/ WebMovie
    「彼氏:娘さんと…娘さんと結婚させてください!父・母・娘:パワーーー!」
    ──
  • クドウナオヤ(電通)
    カプコン/
    バイオハザード ヴィレッジ/ WebMovie
    「朝起きて 飛びつかれ 首を噛まれる散歩道」
    ──
  • 都竹玲子(東急エージェンシー)
    名糖産業/
    大人の洋酒チョコレート/ WebMovie
    「無言の妻は、多くを語る。甘いだけじゃないのが、大人だ。」
    ──
  • 北 恭子(電通)
    Netflix/
    浅草キッド/ラジオCM
    「若い男性:令和の学び方 AI で解決する年配男性:昭和の学び方 愛で解決するNA:昭和の時代、愛はとってもタフだった。」
    ──
  • 原麻理子(フリーランス)
    良品計画/
    企業/ポスター
    「気持ちいいのはなぜだろう。」
    ──
  • 花田顕子(電通)
    佐賀県/
    佐賀海苔/WebMovie
    「サガノリ:バター…ひとりで…死ナせたくなイ…」
    ──
  • 石山寛樹(CAMOUFLAGE)
    MG Japan Services/
    Tinder/アドボード
    「どこかにいい人いないかなーって、一生言ってな。」
    ──
  • 髙木浩平(博報堂)日本弁護士連合会/
    弁護士会/法律相談センター/WebMovie
    「土方:我が社の就業規則『局中法度』が、ブラックではないか確認頂きたい。弁護士:しょ、承知しました。」
    ──
  • 水野百合江(谷山広告)
    茅葺座/
    茅葺き建築/ポスター
    「『茅』と言う植物はない。里山にあるふつうの草たちが、屋根になると茅に変わる。」
    ──
  • 宮坂和里(博報堂関西支社)
    新潮社/
    新潮文庫/ポスター
    「奥歯がきゅっと縮むような生ぬるい苦さ」
    ──
  • 河内大輝(博報堂)
    マスメディアン/
    ブランデッドムービー/WebMovie
    「面接官:えー、次にちょっと変わった質問なんですが…私にペンを売ってみてください。」
    ──
  • 中島優子(ビーコンコミュニケーションズ)
    HARIBO/
    ハリボーゴールドベア/TVCM
    「力士A:あむ!あむあむ!ごっつぁんです!お相撲やりたくなっちゃった。」
    ──
  • 春田凪彩(電通)
    第一三共ヘルスケア/ロキソニンSテープ/ラジオCM「息子:やめろよ、アンダースロー!こういう時普通、上投げだろ?!NA:上げるのがつらい肩の痛みに。」
  • 2022年度TCC審査委員長賞 受賞者リスト

  • 丹羽貴紫(xpd)
    眞露/
    チャミスル/WebMovie
    「このわからずや!攻撃力“0”パンチ」
    ──
  • 西出壮宏(博報堂)
  • 大川将平(博報堂)
    oVice/
    企業/ポスター
    「もう猫吸いながらしか仕事できません。」
    ──
  • 三島邦彦(電通)
    本田技研工業/
    企業/新聞
    「じゃ、最後、行ってきます。」
    ──
  • 三木小夜子(電通)
    森永製菓/in ゼリー/WebMovie
    「久々高校行きたくなってきた。」「差し入れいくか!」
    • 審査委員長 福部明浩

      これは数年前からの傾向ですが、新人賞のレベルが恐ろしく高まっています。今年はとくに狭き門で、受賞者は16名。上位入賞者は即戦力どころか、即エースの完成度です。こういう頼もしい「新人」の登場は、TCCにとっても、広告業界全体にとっても非常に喜ばしいことです。受賞者の皆さん、おめでとうございます!

      一方で少し思うのは、この「新人レベル高すぎ現象」は、広告業界全体に「遊び」がなくなってきていることの裏返しかもしれないぞ、とも感じるわけです。かなりの完成度に達していないと、チャンスすら回ってこないという現実。なかなかタフな状況です。ポスター1枚つくるにしても、昔とは難易度が全然違う。事実、新人賞の応募はここ数年減っています。出したくても出せない人が、多いんだと思います。

      もし、ここに突破口があるとしたら、それは「新しいメディアの中の言葉」かもしれません。自分がいま新人なら、そのフィールドに活路を見出す気がする。今の時代、CMもポスターもめちゃくちゃ大人仕事だから。となると、大事になってくるのが今後のTCCの審査体制です。そういう言葉たちを、ちゃんと評価できる環境を整えられるのか。わりと喫緊の課題かもしれません。あと一般部門でいうと、三島邦彦さん。もうイヤんなっちゃうくらいの質と量。脱帽です!

      秋山晶

      2つの賞が2022年そのものを表現している。

      グランプリ:声が言葉になり、言葉が広告になったと思えるような新聞広告。新聞でなければ表現できない文字による言葉。ハンドメードの言葉。人生には、飲食店がいる。

      最高新人賞:カロリーメイト(リキッド)のビジュアル。「思考回路をつなげよう」のコピーもビジュアルの一部になっている。回路のデザインがリキッドの品質をイメージさせる。2022年。デザインは言葉になった。

      麻生哲朗

      TCCをアップデートするという方針の主体を探りながら、直面したのはキユーピーやearth music & ecologyのように匿名にもかかわらず、奥にいる書き手の存在(名前ではない)が立ち上がってくる仕事の放つ光だった。それらを前に、同じ商品で同じ書き手が受賞を繰り返す状況を、審査基準の方をアップデートという言葉で無理に見直すことに空しさを感じた。

      限定された世界観や長い年月の中でも、書き手が時代に呼応し、もしくは立ち向かって新たな言葉を自分の中から絞り出し続ける、これこそが我々のするべきアップデートではないか。個々の制作者が、それらをさらに乗り越えた仕事をしない限り、賞としてのTCCのアップデートは起こり得ないと思った。

      磯島拓矢

      コロナによる世の中の変化に、必死に対応した昨年の反動でしょうか。今年は広告がちょっと迷っているように感じました。「もう元に戻っていいのかな?」「やっぱり人を励ました方がいいのかな?」僕自身が迷っているのかもしれませんが(笑)。そんな中、ロト6・ロト7・ナンバーズの仕事が見事な完成度でやわらかな希望を提示していて感心しました。それは、コロナを経験した僕らがまさに必要としているものだと思ったのです。この先の仕事の、ひとつの指針にしたいなと思った次第です。

      一倉宏

      全コロナ時代の人々の気持ちをていねいにトレースしながら、飲食業界の応援歌となり同時に企業広告にもなっているという巧みさがグランプリの所以だろう。全体的に、さとふる、UQ mobile、コインチェック、メルカリなど、この時代に成長する業界はやはり元気がいい。第一線の作り手たちがしっかりと仕事をしている。それぞれに広告的で攻めの仕事だ。

      ロト6・ロト7・ナンバーズのスピード感ある展開と回収にはいちばん新しさを感じた。キユーピーさんにはもう言葉もなく脱帽する。また審査委員長賞がどれもいい。同感だ。最高新人賞は前年の無念を晴らす意味でも本当によかった。今年の新人賞は、みなさん個性が鮮やかで頼もしいと思う。おめでとう。

      井村光明

      あのコピーライターがあのクライアントと今年も、という印象に尽きます。あのクライアントと、というのが今年強く感じたことで、受賞作からコピーライターだけでなく、クライアントのやる気というか本気が伝わってはこなかったでしょうか。優秀なクリエイターと本気のCMOがガッチリ組んで、これからクリエイティブの格差が大きく開いていくように思いました。応募者のひとりとしては辛い時代だなあと思うのですが、それだけに素晴らしい作品が生まれています。

      サントリーの「そういうことじゃないんだよ」「ついぽろっとこぼしちゃうようなうかつな場所」は、道頓堀グリ下で一目見た時からグランプリ候補でした。お互いグチりながら頑張りましょう。

      岩田純平

      最終審査で投票したのは「人生には、飲食店がいる。」「恋スル!チャミスル」「手をのばそうよ。届くから。」「UQUEEN」「それ、新品じゃなくてもいいんじゃない?」「電話口でお母さんが子供にささやくJAL」「じゃ、最後、行ってきます。」「上を見ろ、星がある。下を見ろ、俺がいる。」「食品ロスチラシ」「そこに愛はあるんかるた」「コインチェック」「さとふる」「住友生命の手紙」「ロト6・ロト7・ナンバーズ」「TOPPA!!!TOPPAN」(順不同)でした。

      言葉の力、1行の重要性を、あらためて感じました。新人賞は「貯杉先生」と「カップヌードル」。TCC賞でも獲れた気がします。

      太田恵美

      今年の受賞の一覧を眺めると例年になく列が下に続く。シリーズ(コピー/シナリオの展開)が多く受賞しているからだ。群と一本が同じ土俵で審査されることにはさまざまな意見もあるだろうが、私には今年の審査が面白かった理由のひとつがそこにあった。仲間と飲食を共にするということ。ふるさと納税とかクジとか仮想通貨とかのちょっと不思議な仕組み。ケータイにまつわる多彩な情報。どこかの国の野菜やハーブの存在。などなど。

      いただいたお題を入口に、コピーライターやプランナーの頭と心がぐるぐる回っただろう。そして、さまざまな言葉になった。このところおセンチになっている同業者としては、そのイメージの旅に同行できたことが嬉しかった。

      尾形真理子

      自分がやっている仕事の延長線上に、TCC賞がある気がしない。コピーライティングが必要とされる場は多岐に広がり続けている。社会の意識も急速に変わっている。そんな中で今年のTCC賞の審査は「アップデート」がテーマに掲げられました。個人的には、大きなシリーズじゃなくともキラリと光るものに1票を投じるぞ!と勝手ながら決めていました。終わってみれば、例年通り、圧倒的に見応えのあるシリーズが強かったです。

      そしてどれも唸るような素晴らしい仕事でした。新人賞は応募が年々減っているにもかかわらず、レベルは上がり続ける狭き門に。TCC賞はどうアップデートしていくのか?審査中も審査後も、例年になく考え続ける審査でした。

    あと60%

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