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デジタルファブリケーションで広がるデザインの可能性

「木材は異方性の材料だから面白い」の意味

平本知樹

3Dプリンティングをはじめ、デジタルデータをもとにした創作技術「デジタルファブリケーション」。これらは広告・デザイン領域の可能性をいかに広げていくのか。TOKYO2020の表彰台プロジェクトなどを手がけた、平本知樹さんが解説する。

木材の特徴を最大限に活かした町屋の最高作品のひとつである吉島家住宅。

伐採後に乾燥させている木材置き場の風景。

「異方性の材料だから面白い」の意味

「木材は異方性の材料だから面白い」と言う人がいます。木材はその木目により、圧縮や引張りなど力のかかる方向により異なる強度を示します。使う方向により強度が異なることを「異方性」といいますが、最近きこりや棟梁と呼ばれる方々とお会いして、その言葉の意味を考え直しました。

木は斜面の方角や河川の状態により、自立するために斜めに生えたり、根曲がりをしたりします。きこりはその状態を見極めながら倒木し、棟梁は切り出された木を見て、どんなところに生えていた木か想像しながら建物の中でどの部材として使うか決めていきます。そうしたプロセスを見ると、「木材は異方性の材料だから面白い」というのはエンジニアリング的な言葉のように思えてきたのです。

つまり、木の方向ごとの強度測定をした上で...

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