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DIRECTOR'S WORKS

自然の中に佇む1本のシャワー、SANEI初のCMの裏側

後藤匠平

気になるあのCMの演出やキャスティングについてディレクターにインタビュー。今月取り上げるのは、水まわり製品を扱うSANEI初の企業CMだ。

後藤さんが描いたSANEI「水から、ドラマチックに。」篇(30秒)の絵コンテ。

壮大な世界観で企業ビジョンまで表現

水まわり製品・水栓メーカーのSANEIは6月23日から、初の企業CMを放映している。「水は、地球を循環する。その壮大なサイクルの中で水と人は出会う。それは、一瞬の重なり」。太陽や山に雲が重なるシーンで始まる映像は、大自然の中に佇む1本のシャワーをとらえる。BGMはドラムをベースとしたアンビエントミュージック。シャワーから水が滴ると、山から見える壮麗な朝焼けを背景に、少女が水へ無邪気に手を差し出す。そこに「水から、ドラマチックに。」のコピーが重なる──。

演出を手がけたのは、後藤匠平さん。自身もこのCMに映るSANEIのシャワーを愛用していた縁もあり、企画段階から携わった。「シャープで重厚感あるSANEIのプロダクトの世界観を表現したいと考えました。一方で初の企業CMなので、プロダクトに焦点を当てるのではなく企業ビジョンまで盛り込みながら俯瞰した目線の映像を提案しました」(後藤さん)。

こうした中、水を扱う企業として環境保全にも注力し、今年度のコンセプトを「『Think Life. Make Act.』行動しよう。未来のために。」と掲げる同社の思いをのせ、地球における水の循環をテーマに設定。「自然と人間はひとつだ」をステートメントに、果てしない時間と空間を循環してきた水と人の出会いを、自然の中に佇む1本のシャワーで表現した。

撮影は、後藤さんが「目に見えない物事の背景を映すことに長けている」と敬愛する藤井保さんが担当。伊豆大島をロケ地に、雲や海など壮大な自然のカットから水の多様な状態を切り取った。

ダークトーンで始まる映像は、湿度が高い空気を表現している。中盤のシャワーから水が出るシーンを起点に光が差すように転調させた。合わせて大地や生命の鼓動を感じさせるバスドラムが鳴り、地球における人間と自然の交わりになぞらえた。「シャワーから水が出る瞬間を視聴者の気持ちが動くピークと定め、音響の雰囲気をガラリと変えるとともに山影から覗く太陽の逆光でダークな風景が色づいていくようこだわりました。人と水が交わる一瞬に感じる心地よさを体現した映像に仕上げています」(後藤さん)。

6月23日から公開された同CM。

  • 企画制作/博報堂+AOI Pro.+CluB_A
  • CD+AD/三宅達也
  • 企画+C/川村健士
  • 企画+監督/後藤匠平
  • Pr/川口雅弘
  • PM/岡本幸奈
  • 撮影/藤井保、岡本和大(チーフ)
  • 撮影(GR)/阪野貴也、青谷慶(アシスタント)
  • 美術/石井雅宏
  • 編集/前谷亜季(オフライン)、高木陽平(オンライン)
  • カラリスト/高橋直孝
  • レタッチ/桜井素直
  • 音楽/Erik Reiff
  • SE/成田明人
  • MIX/北穰至
  • ロケCRD/神長朋史、佐藤康吉、佐藤貴陽
  • CAS/前田莉奈
  • HM/堤綾香
  • ST/益丸宗大
  • NA/松村瑠璃
  • 出演/ニコリ.T

後藤匠平(ごとう・しょうへい)
1982年神奈川県生まれ。2005年に桑沢デザイン研究所総合デザイン科を卒業し、翌2006年に葵プロモーション(現AOI Pro.)入社。2007年、TBWA\HAKUHODOへ1年間出向。2017年にフリーとなり、現在はCluB_A所属。CMディレクターとして数多くのCMを演出する。

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