西原商会(鹿児島市)は2022年、創業50周年を記念しサンライズとアニメーションMVを制作した。クレイジーケンバンドが提供した同社の社歌をライムスターがリミックスした楽曲を使用するなど、周年を機としたコラボはなぜ実現したのか。
40周年の社歌が50周年MVに
1971年に創業した西原商会は、鹿児島に本社を置く業務用食品の卸売業者だ。99年には関東にも進出、アジアなど諸外国にも拠点を持つ。そんな同社には「♪西原商会〜西原商会〜西原商会〜」と社名をメロディにのせた社歌がある。クレイジーケンバンドが2014年に発表した『世界、西原商会の世界!』だ。
西原商会マネジメント広報部の中山正彦さんによると当時の仕入部長が横山剣さんの大ファンだったことがきっかけ。「40周年記念総会で社員のためのサプライズを」と正面からお願いし、ゲスト出演が実現したのだ。その縁で社歌も制作され、その楽曲はクレイジーケンバンドの15枚目のアルバムにも収録された。
今回公開した50周年記念のMVは、この社歌をライムスターがリミックスした楽曲が使用されている。題して『世界、西原商会の世界!Part2 逆featuring CRAZY KEN BAND』。「♪昭和46年冬に創業 以来探求中 味の理想郷」といったリリックを盛り込み、西原商会のスタンスをラップで表現した。サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)によるフルアニメーション作品で、ライムスターの3人も「謎の男」として出演。5月25日にはライムスターの楽曲としてもリリースされ、そのジャケットには西原商会の創業時の社屋が使われている。
「社長の西原は学生時代にDJをしており、ライムスターの皆さんとは旧知の仲。いつかご一緒したいと考えていたことから協力をお願いしました」(中山さん)。
仕事の失敗談が共感を呼ぶ
アニメMVの舞台は、昭和後期の西原商会鹿児島営業所。所長の中村が、独断による受注ミスをした若手社員の田中を叱ってしまう。煙草をふかしつつ「きつく言い過ぎたか」と反省する中村の前に、「未来からやってきた」というライムスターに瓜ふたつの「謎の男たち」3人が登場。中村は空を飛ぶ西原商会のトラックに乗せられ、リミックスした社歌とともに未来の西原商会を見守る旅へ出発するというストーリーだ。
制作にあたり、西原商会からは同社のアイコンのような存在でもあるトラックを描画してほしいとお願いした。「50周年といえど懐古主義にとらわれず、先進性や食文化のさらなる発展も見据え、次の100年につなげていける映像にしてほしいとお伝えしました」と中山さん。
それを受け、サンライズ側からもいくつかのテーマ案を出していった。