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デザインの見方

膨大な知識から再構築された衣装

山本智恵子

THE CHECKERS『もっと!チェッカーズ』(1984)/画像提供:ポニーキャニオン

何かをつくる仕事に携わりたい。そう考えるようになったのは、THE CHECKERS(以下、チェッカーズ)の衣装に興味を持ったことがきっかけです。『もっと!チェッカーズ』(1984)は、当時、田舎のレコードショップでもとても目立っていて、おしゃれなビジュアルに惹かれて自分のお小遣いで初めて購入したレコードです。

そんなある日、テレビの歌番組でチェッカーズが、「今日の衣装は白い英国シャツだから、下着をはいていない」と話していました。そのエピソードから、かつて欧州では男性のドレスシャツが下着を兼ねていたことや、清潔に洗濯された白いシャツを着られることが貴族の象徴だったことを知り、衣装へのこだわりと奥深さに感動したのを覚えています。

最初は身近な洋服のデザインからつくり手に興味を持つようになり、初期のチェッカーズは秋山道男さんがビジュアルイメージをプロデュース、衣装デザインは堀越絹衣さんが手がけていることなども知りました。

当時のチェッカーズの衣装は、中世のヨーロッパの貴族衣装や民族衣装、軍服などのエッセンスを取り入れていたり、映画や音楽をテーマにコーディネイトされていたりしていました。特徴は、時代もジャンルも異なるものを再構築したデザインであること。つくり手が各時代のファッションやカルチャーなどを知り尽くしていないと生み出せないアイデアです。そして、今でこそ衣装デザインで当たり前のように...

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