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感じるブックジャケット(AD)

銀河にきらめく星を連想させる紙「ミランダ」を使ったブックジャケット

前原翔一「float in space」

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。

銀河にきらめく星を連想させる紙

2008年に発売した「ミランダ」は、赤・青・白のガラスフレークがきらめく光沢が特徴的なファインペーパーだ。ピンクやブルーなど華やかな色を含む13色を展開し、パッケージやダイレクトメール、書籍の装丁などに使われることが多い。

その中から今回は黒をセレクトし、猫のようにふわふわとした謎の生き物が目を引くブックジャケットをデザインしたのは前原翔一さん。ミランダは化粧品やファッションブランドのDMで使われるなど女性らしいイメージが強い紙だからこそ、意外性のある提案ができたらと考えた。

「ミランダという名称は天王星を回る第5衛星『Uranus V Miranda』が由来と聞いて、ガラスフレークの輝きが銀河にきらめく星のように見えてきたんです。そこから連想したのは、アンリ・ルソーの絵画『眠るジプシー女』。この絵の砂漠に浮かび上がるライオンのように、ちょっと不思議な生き物を描きました。謎の生き物の存在を黒インキで表現し、紙地を隠蔽してしまうことで、背景をより引き立たせています」。

胴体は黒100%とマットニスで、ミランダの光沢を完全に覆い隠した。白の2度刷りで目鼻をつくり、鼻にはさらに黒を重ね質感の差を出した。口は赤の顔料箔だ。暗闇の中にキラリと光る白い目は夜行動物のよう。遠くからでも目が合うと、ドキッとさせる効果をもたらしている。

仕上がりで最もこだわったのは、黒インキで隠蔽した胴体と元の紙の境目。その境界がぼんやりとしていて曖昧だからこそ、ミランダが本来持つ輝きがより際立ってくる。「この生き物のフォルムをまじまじと眺めていると、絶妙にガラスフレークが交じり合っている境界の部分に自然と目が行くはず。一見ゆるそうなデザインですが(笑)、紙の特徴をじわじわと感じてもらえるようなこだわりがたくさん詰まっています」。

屋外作業機械メーカー・やまびこの社内報「季刊誌やまびこ」とポスター。

写真館のポスター「東と西」。

花屋のポスター「Camille(カミーユ)」。

    今月使った紙:ミランダ

    赤・青・白の3色の細かなガラスフレークにより、きらめく光沢を表現したファインペーパー。天王星を回る衛星ミランダから名付けられました。

前原翔一(まえはら・しょういち)
1982年東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。電通テック、ドラフトを経て、2019年に独立し現在に至る。JAGDA新人賞2022受賞。

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