バンダイの「ガシャポン」が45周年を迎え、3月から記念プロジェクトが始動した。同社はカプセルトイの国内トップシェアを占め、近年は市場全体でプラス成長を続ける中、「ガシャポン」というブランド名の知名度を調査すると全国平均4%だった──その事実から、話題量と共感量を増やす仕掛けを実現した。
ブランド名をチャーミングに打ち出す
「業界シェアダントツ1位なのに、名前をちゃんと知っている人はたったの4%でした。ガシャポンは今年でなんと45周年。今年こそちゃんと名前を呼んでもらえるように、いろいろがんばります。」──3月21日、バンダイのカプセルトイブランド「ガシャポン」の広告が読売新聞朝刊に掲載された。「これの名前は?」という問いかけとともに、ぽつんと佇むガシャポンとカプセル。地面に広がる影が、ちょっぴり物哀しさを感じさせる。
「ガシャポン」は1977年に発売。2022年に45周年を迎え始動したプロジェクトの皮切りとなる新聞広告に掲載されたのは、「知名度4%」という赤裸々な数字だ。これは2022年1月、バンダイが全国15〜69歳の男女4700人を対象に実施した調査で判明した。
今回の企画をクリエイティブディレクターとして提案したのは、電通PRコンサルティングの松尾雄介さん。「カプセルトイ自体が認知されていても、ガシャポンという名称があまり知られていないという課題がありました。そこで45周年のタイミングで自虐的になりすぎず、ブランド名をチャーミングに打ち出しています。プロジェクト全体を通して、話題量や共感量を増やしていくことが狙いです」。
前述の調査で都道府県別の知名度を分析したところ、トップの千葉県では12.39%。最下位の富山県では0.82%と、エリアによって違いがあることも判明した。そこで両県の地元紙である千葉日報、北日本新聞にもそれぞれ出稿。ボディコピーを出し分けして制作し、「千葉県のみなさんに、もっとたくさん名前を呼んでもらえるように。」「富山県のみなさんにちゃんと名前を呼んでもらえるように。」といったメッセージを込めた原稿とした。
渋谷駅でガシャポンの無料体験も
リアルの場の施策としては3月21日から7日間、京王井の頭線渋谷駅のデジタルサイネージも活用。それぞれ柱の前にガシャポンを12台設置し、誰でも無料で回してカプセルを入手できる体験を楽しめる「遊べる屋外広告」を用意した。
カプセルの中に入っているのは6種のアクリルチャーム。広告で呼びかけている「これの名前は?」という問いの答えとなる「ガシャポン」をチャームに記している。「広告展開の一環としてこの場所でガシャポンそのものを設置するというのは前例がなくイレギュラーな施策でしたが、交渉により実現したもの。期間中は係員が常駐し補充しながら対応しました」(松尾さん)。
さらにバンダイでは2018年から立体映像を搭載した最新型のガシャポン自販機を開発していたことから、45周年のプロモーションとも連動。高さ約2メートルの大型で、東京・池袋と福岡にある実店舗「ガシャポンのデパート」にそれぞれ設置され1年間楽しむことができる。池袋では3月21日に「謎の巨大な箱」として箱を被せた状態で先行お披露目し、同28日にベールを脱ぐ形で期待感を高めた。
松尾さんがプロジェクト全体を通じてこだわったのは、バンダイが一貫して提供してきたワクワク感を発信し続けるということ。「特設サイトのトップに用いているキービジュアルは、ガシャポンと人のつながりを表しています。さまざまな人々の手と、ガンダムやバルタン星人、猫などがカプセルを手にしていて、まさにバンダイだからこそできる表現。2022年は1年かけて、毎月何かしらの新しいアクションを発信していく予定です」(松尾さん)。
- 企画制作/電通+電通 PR コンサルティング+アドブレーン+ギークピクチュアズ
- CD+企画/松尾雄介
- 企画/小川裕介
- C+企画/岩穴真依
- 企画/鶴岡大和
- STPL/石川雄太、門井凌太郎
- AD/田中暢
- D/増田悠菜、寺西安奈
- CPr/島津卓史
- Pr/中島翔平、根津裕典
- PM/宮嶋奈々海
- 撮影/加藤純平
- レタッチ/望月洋輔
- Webコーディング/井上成美
- PRプロデューサー/高橋洋平
- PRプランナー/見川佳菜、岩木優佳
- AE/本田祐哉、山直彩香