気になるあのCMの演出やキャスティングについてディレクターにインタビュー。今月取り上げるのは、UCC上島珈琲「UCC COLD BREW」の「やっぱり香るど!」篇だ。

演出コンテ(15秒ver)。
短時間でも印象を残すハンドダンス
「香るどブリュー、香るどブリュ〜♪」と歌う声が多重録音されたしっとりとしたBGMに合わせ、手を顔周りできびきびと動かすヴォーグダンス風の踊りをする、白と黒2人の池田エライザ。手に持つのは「UCC COLD BREW」の「LATTE」「BLACK」の2つのフレーバーだ。特に15秒verでは、音楽とリンクした動き、それに反した2人の動きの微妙なずれや、表情の違いによって生じる違和感が、見る人をぐっと映像に引き込む。
演出は渡邉直さん。自身がダンスの経験者ということもあり、本CMには企画部分も含め携わってきた。「最初にいただいた企画では、池田さんのダンスはヴォーグダンサーの方をそのままマネしたような、きびきびとしたかっこよさを重視したものでした。でも無表情でただすごいダンスを踊るだけでは不愛想だし、視聴者にはだから何?とスルーされてしまう気がして。ちょうどいいハンドダンスの表現の塩梅を探っていきました」。
渡邉さんはSNSでさまざまなダンスを見比べ、そのために必要な要素を抽出していった。「そこで気付いたのが今回のダンスでは『すごいより不思議』『音楽と動きがはまっている』『可愛げ(ゆるさ)があること』といった要素が大切だということです。実際にそういったダンスを多数手がけられているXTRAPさんに振付を...