IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

デザインの見方

空間が作品を生む──ペレ・トレントさんのスタジオと作品

シマダタモツ

シマダさんがスペインを訪れた際、本人からもらったというペレ・トレントさんの作品集『El grito, la palabra, el susurro』(1995)。現地でシマダさんが実物を見たというオブジェ(右)も掲載。

ペレさんが手がけた日めくりカレンダー。

ペレさんのポスターが収録された冊子『PERET』(PRODUCTOS COMPACTOS、1989)。

2001年の10月、スペインに行きました。26歳でデザイナーとして独立し、10年目を迎えた頃でした。スペインに行ったのは、知り合いのクリエイティブディレクターが大阪で開くことになったスペイン雑貨店の買い付けのためです。その人とアートディレクターと僕の3人で、2週間弱の期間でバルセロナ、イビサ、そこから船で約30分のフォルメンテラ島を回るスケジュールでした。

毎日アーティストに会い、作品や雑貨を買い付けていきます。商談のような堅い場ではなく、一緒にランチを食べ、ワインを飲んで賑やかに語り合うんです。そしてディナーでまた別のアーティストとワインを飲む。とにかく毎日ワインを飲むので、1日2人ほどしか会えなくて(笑)。でも効率だけを重視しないカルチャー含め、地中海の青い空の下のびのびと働く人々を見て、こういう働き方は良いものだなと感じていました。

その最終日に訪れたのが、イラストレーターでありデザイナーのペレ・トレントさん(僕らはペレットさんと呼んでいました)のスタジオです。築100年ほどの建物をリノベーションした空間で、入り口は馬に乗っていた時代の名残で数メートルの高さ。その重いドアをギギっと開けた時の感動は、今でも忘れられません。高い天井から365枚の絵が針金でつるされ...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

デザインの見方 の記事一覧

空間が作品を生む──ペレ・トレントさんのスタジオと作品(この記事です)
人生を豊かにする生活にとけ込むデザイン
先入観なく眺めて覚えた美しいデザインのルール
アイデアの「その先」にある表現
イノベーションは一番シンプルな顔つきでやってくる
自分らしさの壁を突破した、善悪が混在した世界観
ブレーンTopへ戻る