実験的な試みを通じたイマジネーションの喚起
THERIACA Yarn,Rope,Spaghetti展
ベルリンを拠点とするファッションブランド「THERIACA」(テリアカ)。2014年にブランドを立ち上げたデザイナーの濱田明日香は、2020年に『かたちのニット』(文化出版局)を出版した後、ニットの新しい可能性を追求したいという思いから編み物を新たな目線で捉え、その表現を拡げることをテーマとしたニットプロジェクトをスタートさせた。本展は同プロジェクト初の展覧会となる。
会場では、毛糸を柔軟な発想で使用したカラフルでアーティスティックな作品や、靴ひもやストロー、紙といった身近なオブジェクトを素材に取り入れて編んだ実験的な作品のほか、濱田のアイデアソースや創作のための資料なども展示。濱田が創造する〈糸〉や〈編む〉といった試みの、発想から作品に至るまでの思考と実験のプロセスを俯瞰できる構成となっている。
4月に刊行されたアートブック『THERIACA Yarn,Rope,Spaghetti』(出版:横田株式会社、制作:torch press)も会場で販売される。
THERIACA Yarn,Rope,Spaghetti展 | |
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開催中、5月15日まで |
新たな視点を生み出すジャム・セッション
写真と絵画―セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策
ダムや橋といった自然の中の人工的構造物を題材に、形態を単純化しながら主たるモチーフを浮かび上がらせることで、見る者の想像力に働きかける柴田敏雄。サント=ヴィクトワール山、セザンヌのアトリエ、桜や雪といった対象を、カメラという機械の知覚を通して、ものを「見ること」への問題意識を提示する鈴木理策。
そんな両者が活動初期から関心を寄せてきたのが、自然に即しながら自己の視覚的感覚の実現を果敢に試みたポール・セザンヌ。本展では、柴田と鈴木の新作・未発表作を含む約240点にセザンヌのみならず、藤島武二やアンリ・マティス、ギュスターヴ・クールベやクロード・モネといった絵画の視点を織り交ぜながら、現代の写真作品と絵画の関係性について...