愛知県に本社を置くテラ・ラボは2022年2月、約14分のムービー「空飛ぶイルカ」を公開した。災害時の状況把握のため開発した無人航空機「テラ・ドルフィン」をはじめ、災害対策DXに取り組む同社が描く未来を主人公である役場の職員の目線で描いている。
企業色を控えリアリティを第一に表現
東北にある架空の自治体を舞台にした、近未来災害を描いた本作。主人公は役場の危機管理課の職員・木幡花だ。ある日、花は地元に住むお年寄り・しずさんに豪雨に備え避難を呼びかけに行き、お礼に野菜とイルカをかたどった折り紙を手渡される。
その後、シーンは一変。雨は次第に激しくなり、エリア一帯では土砂災害被害も発生し始めた。自治体、消防、警察などの行政機関が地域住民の安全を確保するために奔走するが、被害状況の把握が困難で、現場には焦りが満ちる。その時、花はしずさんから手渡されたイルカの折り紙を見つけ、災害対策情報支援を目的としたテラ・ラボの無人航空機「テラ・ドルフィン」の存在を思い出し、それが状況の大きな打開策となるのだった──。
愛知県に本社を置くテラ・ラボは、2019年に東日本大震災からの復興を目的とした「福島イノベーション・コースト構想」に参画し、研究開発拠点を福島県南相馬市に設置。災害時の状況把握に役立つ長距離無人航空機の開発に着手してきた。
「これまで当社で『テラ・ドルフィン』やクラウド上で解析データを管理する『テラ・クラウド』の開発を続けてきた最大の目的は、災害対策DX化の促進です。東日本大震災による津波や原発事故被害を受けた福島県浜通りといったエリアは、震災の発生後も長らく社会から取り残されたエリアでした。そうした場所をなくしていくためにも、テクノロジーの力は不可欠だと考えています」とテラ・ラボ 代表の松浦孝英さんは話す。
無人航空機の「テラ・ドルフィン」は現在...