2023年に創業20周年を迎える映像制作会社、右脳事件。ワンストップの制作が可能であり、企業やブランドが持つファクトに基づきストーリーを描く企画・演出力を強みとしている。これまで経済産業省によるブランデッドコンテンツ制作への補助金制度での採択実績も多く、昨年から導入した3ユニット体制で動画制作のニーズに応えている。
3ユニット制でクリエイターが活躍
右脳事件は2003年に創業した、映像を専門とする制作会社だ。プランナー、プロデューサー、ディレクターをはじめとする約30人のメンバーが所属し、企画・コンセプトづくりから、演出・撮影・編集・CG制作・動画活用プランニングの提案に至るまで、全てを社内で完結できるワンストップの体制で対応している。
創業20周年という節目を控え、2021年からは社内体制の変革に着手している。従来はプランナー、プロデューサー、ディレクターといった役割ごとに縦割りでチームがわかれていたが、現在はA・B・Cと3つのユニット制に変更。各ユニットには職種を横断して人材が配置され、日々の制作にあたっている。
右脳事件 プロデューサーの草部志織さんによると早速その効果が表れ始めている。「異なる役割のメンバーが一緒になり、ひとつの映像をつくり出すことを目的として始めた施策。以前と比べ、メンバーが制作により主体的にコミットできるようになり、クライアントに対してもそれぞれが自分の持つスキルでいかに貢献できるかをより考えるようになりました」(草部さん)。
現在も映像制作のニーズが拡大していく一方で、代表取締役の影山二郎さんは右脳事件の強みとして経験と実績の豊富さ、そして「企画力と演出力」を挙げる。
近年は初めて動画を制作する企業からの依頼も増えている。経済産業省によるブランデッドコンテンツ制作への補助金制度を利用した制作実績も多く、2021年度は採択事例のうち4件の制作に関わった。いずれも競合他社とのコンペを勝ち抜いての受注となっている。「同じようにワンストップで手がけることができる制作会社が増えていく中、企画力と演出力で勝負ができるのが強みとなっています」(影山さん)。
ドキュメンタリーで企業の課題解決
特にブランデッドコンテンツ制作では、企業が持つファクトに基づいてストーリーを組み立てていくドキュメンタリータッチの映像を得意とする。
「フィクションの世界を描くドラマ仕立ての映像も制作していますが、クライアントの企業や商品にしかないファクトに基づくドキュメンタリータッチのムービーはその企業だからこそ表現できるもの。フィクションの物語では描くことが難しい、独自のメッセージを伝えられる強みがあります」(影山さん)。その好例と言えるのが、2022年1月に完成した日本貨物航空(NCA)の社内ブランディングを目的とした動画だ。
NCAの映像に出演するのは、整備・マーケティング・人事・運送・部品・運航など、さまざまな部署で働く社員たち。それぞれが自身の仕事について語るインタビューで幕を開ける。彼・彼女たちは仕事に対する誇りを語る一方、他部署の仕事に関する質問にはうまく答えることができない。
その後、場面はNCAの整備場へ。筆記試験の会場さながら等間隔で机が並べられ、各部門から集まった約30人の社員が机に向かい、自社に関する質問を盛り込んだ「NCA力」に関する抜き打ちテストに一斉に取り組む──という展開だ。
「NCA力テスト」の内容は全48問。「会社の創立年月日は?」「隣に座った社員の部署名・名前は?」「メインデッキに搭載可能な貨物の高さは?」などの問いを盛り込み、頭を抱える社員たち。テストを終えるとワークショップ形式で他部署の人たちと交流しながら答え合わせを進め、「自分たちが思っている以上に自社や他部署について知らないことが多い」と実感する。さらに互いの仕事を教え合うなど、新たなコミュニケーションが広がっていく様子を描いている。
本作のプロデューサーを務めた森永悠仁さんによると、NCAから右脳事件への制作依頼は今回が初めて。「社員の方々が自社や他部署に関するテストを受けることで、実は知らないことも多かったと気付き、お互いに理解を深めていく。さらにこの映像を見ることになる他の社員の方々も、この出来事を追体験できるような動画にしましょうと提案しました」と意図を明かす。
右脳事件では、ドキュメンタリーやドラマのほかにも、クライアント企業のニーズに応じてクイズ番組や討論番組のパロディ風の内容や、リアルと映像を融合させた空間演出に至るまで多彩な企画や演出を提案している。影山さんも、「クライアントの求めているブランディングの方向性や抱える課題、社風などを汲み取った上で、どのような動画の切り口が最適かを考えて制作できるのが、まさに企画力だと考えている」と自社の強みを語る。
近ごろは広告代理店を介さない、企業との直接取引の機会も増加している。「社内で決裁を取り予算組みをしてからご相談いただくケースも多いのですが、その前段階から相談いただくとより課題に適した提案ができます。動画制作だけでなく、その活用の提案や広告運用・効果測定まで含めたコンサルティングも行うことで、企業にとってのパートナーになれれば嬉しいですね」(影山さん)。
お問い合わせ
右脳事件株式会社
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