ダイハツ工業は2021年12月20日、約17年ぶりにフルモデルチェンジをした新型「アトレー」を発売した。「第三の居場所。」をコンセプトにコミュニケーションを展開し、目標台数を上回る受注を重ねている。
打ち出したのは“居場所としてのクルマ”
新型アトレーの特長は、なんといっても荷室の広さ。ここから今回のコンセプト「第三の居場所。」が生まれた。
「最初にオリエンを受けた時にすぐに思い浮かんだのが、このコンセプトでした。『サードプレイス』という言葉はすでに浸透していますが、コロナ禍で“家か・オフィスか”という二択を迫られることも増え、それ以外の居場所を求める人も多いのでは。新型アトレーの荷室の広さを活かして、“第三の居場所”を提供できるのでは、と考えました」と振り返るのは、本企画の戦略を担当した博報堂ケトル 南俊輔さんだ。
これに基づいて、博報堂のアートディレクター 市田啓幸さんがデザインしたのが、マップ上で場所を示すピンを2つ並べたハート形のシンボル。「クルマの荷室が単なる荷物を置く所ではなく人の心の拠り所になる、そう考えたんです。ただの場所を居場所に。それを表すためにハート形のピンをデザインしました」。
コンセプトとシンボルに加え、コピーライター 中村聖子さんによる「走る車から過ごすクルマへ」というコピーで全体の軸が早々に固まった。「そこから約半年は、それをどう伝えるか、という表現の方に時間を費やしましたね」と、博報堂プロダクツのクリエイティブディレクター 笹原与法立さんは話す。
趣味・嗜好に合わせたモデルケースを用意
久しぶりのモデルチェンジということもあり、クライアントからは「商品にも自信がある。思い切った販売増を狙いたい」との依頼が。従来のアトレーは、“シニアの人々の趣味のためのクルマ”というイメージが強く...