「O’right」は2002年に創業した台湾発のエシカルコスメのメーカーだ。日本でもグッドデザイン賞で金賞を受賞し、2021年にはヘアケアメーカー b-exと提携。日本市場での本格展開を推進する。創業者のスティーブン・コーさんは「原材料の調達、製造、物流販売、消費者の使用、リサイクルと循環させる経済の仕組みづくりこそクリエイティブな活動である」と話す。
ブランドが守るべきは「海」「水」
「グリーン」「サステナブル」「イノベーション」という3つのコアバリューを軸に、165種のヘアケア・ホームケア製品を扱うO’right(オーライト)。2021年12月には全製品でゼロカーボンを達成するなど、自然由来の原材料や環境に配慮した素材を使ったパッケージの製品で知られてきた。台湾では7000軒の美容室やサロンで利用されている。
42の国・地域で販売しており、グローバルでの注目度も高い。創業者でCEOのスティーブン・コー(葛望平)さんはCOP25(2019年)とCOP26(2021年)で講演したほか、米国農務省のバイオベース認証を60商品、3原料で取得するなど国際的な認証・評価も多数取得している。
日本では2020年から百貨店やECでの販売を開始した。近年は製品開発やサプライチェーン変革の取り組みが新しいデザインのあり方として評価され、グッドデザイン賞の金賞を2年連続で受賞している。さらに2021年には、日本のヘアケアメーカーのb-ex(ビーエックス)と資本業務提携。日本市場での販売のほか、サステナブルへの意識を高める啓蒙活動などを進めていく予定だ。
b-exの福井敏浩社長によると、O’rightとの出会いは2019年末ごろ。「新型コロナが広がる前に台湾の社屋や工場も視察し、グリーン革命に取り組む本気度に感銘を受けました。2015年から当社は佐藤可士和さんとブランディングを進めてきましたが、スティーブンさんのブランドに対する細部へのこだわりは可士和さんに通ずるものがある。当社は国内約5万軒の美容室などと取引があり、業界全体でグリーン革命へ本格的に取り組んでいけたらと考えています」。
スティーブンさんは自身がアレルギー体質で、若いころから環境保護の問題に取り組んでいた。1997年の京都議定書の内容に感銘を受け起業、2002年と早くから自然由来の素材を使った製品開発に取り組んできた。
「台湾でもアレルギーに悩む人は多い。化学原料が原因で、解決できる方法はないかと...