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感じるブックジャケット(AD)

キラキラときらめく「みずうみ」を表現したブックジャケット

脇田あすか「Lake in my heart」

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。

キラキラときらめく華やかな質感の紙

2021年7月、全200色を揃えるファインペーパー「タント」シリーズに「タント キラ」が加わった。その名称のとおり、パール調のキラキラとしたきらめきが特徴の紙だ。そんな華やかな質感を活かし、水面がきらめく湖の情景を切り取ったブックジャケット「Lake in my heart」を手がけたのは、脇田あすかさんだ。裏表紙にひっそりと佇む白鳥もかわいらしい。

10種類の色を揃えている「タント キラ」のうち、今回使用したのはK-5(グレー)、K-9(白)の2色。表紙はK-5がデボス加工、K-9はマットな白の箔押しを用いた。K-5のデボス加工は通常よりやや高い温度で施したところ、思いがけず透明箔のような艶感が生まれた。

読書といえば、詩集を選ぶことが多いという脇田さん。湖のデザインのモチーフとなったのも、茨木のり子さんの詩『みずうみ』だ。「人間は誰でも心の底にしいんと静かな湖を持つべきなのだ」「人間の魅力とはたぶんその湖のあたりから発する霧だ」といった一節が印象的なこの詩から、読書を通じて“わたしの中のみずうみ”に深く潜っていく感覚を見出した。

「物語の世界に深く潜っていくうちに、自分の居場所がどこなのかわからなくなる感覚に陥ります。それはまるで湖の中にいるよう。知識が増えたり、心が揺れたり、しんとしたり。周りからは見えない、自分の中に起きている変化やうねりがある。それこそが読書の楽しさでもあると思います」。

脇田さんにとって、本に関わる仕事はどれも思い入れが深いもの。「表紙・カバー・本文などのデザインが全て組み合わさって初めて形になる、というのが面白い。今回のブックジャケットのように、紙そのものや加工の部分に指先で触れながら、物語の世界に入っていく感覚を味わってもらえるようなデザインにも挑戦したいです」。

「hologram」伊藤紺×ビブリオテーク パッケージ・歌集デザイン。

HARUTA 2022 SS COLLECTION「STEP FOR NEW SEASON」アートディレクション。

    今月使った紙:タント キラ

    タントシリーズに新しく加わった、片面パール調光沢のファインペーパーです。タントの豊富な色からC列のクリアカラー、白、グレーの全10色に輝きをまとわせました。華やかさとかわいらしさを漂わせます。

脇田あすか(わきだ・あすか)
1993年生まれ。東京藝術大学デザイン科大学院を卒業後、コズフィッシュを経て独立。あらゆる文化に対してデザインで携わりながら、豊かな生活をおくることにつとめる。またアートブックやスカーフなどの自主作品を制作・発表をしている。

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