2021年12月11日から19日にかけて、地下鉄六本木駅の7番出口へ続くエスカレーター沿いの壁面に、真っ黒なブランクポスターが連続して掲出された。
「共創」をテーマにした 新型VEZELのコミュニケーション
このポスター、上部をよく見ると「#ここにあなたが撮ったVEZELの写真が入ります」という文字が。黒いポスターが並ぶ異様な光景は通行者に違和感を抱かせる。
実はこれ、本田技研工業の新型コンパクトSUV「VEZEL e:HEV」のコミュニケーションの一環で掲出されたものだ。同ブランドは10月29日から12月19日にかけて、Instagramで「あなたが撮ったVEZELの写真」を募集。ブランクポスターは、選ばれた写真が実際にここに掲出されることを告知し、企画への参加を募る役割を担っている。選ばれた写真は12月20日から24日にかけて同じ枠で掲出された。
「VEZEL」は2021年、7年ぶりにフルモデルチェンジを実施。それに合わせて1月から、「GOOD GROOVE_VEZEL」というコミュニケーションを行ってきた。
電通のクリエイティブディレクター 秋永寛さんは「『GOOD GROOVE』のコンセプトは、『Co-Creation』(共創)。これまでのクルマブランドのコミュニケーションは、メーカー側の視点で車のスペックを切り取ったものが多かったですよね。でもその道のプロが自信を持つポイントはかなりマニアックで一般の人には伝わりづらいことも。だから新型VEZELでは反対に、ユーザーに魅力を見つけてもらうためのコミュニケーションを大切にしています」と説明する。
仮にファンが良いと思ったポイントがメーカー側で重視しているポイントと異なったとしても「その発見が価値で、ポイントの集合体がブランドをつくると考えています」と、同 アートディレクター 玉置太一さん。
愛着や時間軸を生み出す?交通媒体の新たな可能性
「GOOD GROOVE」の延長線上で実施されたのが今回の企画だ。参加対象はすでにVEZELを持っている人に限られるが、「ファンを増やすためというよりは、ファンとの関係を深めて...