芸術運動とモードの相関から生まれた表現
奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム
芸術の枠を超え、人々の意識の深層にまで影響を及ぼしたシュルレアリスム。その20世紀最大の芸術運動の理念は、革新的な意匠を生み出し、時代を先駆けんとするクリエイターたちの表現と時に重なり合うものであり、モードの世界でも通底するような斬新なアイデアを垣間見ることができる。
たとえば、トロンプ・ルイユ(だまし絵)的なイラストの導入や、内側と外側の意識を反転させたようなデザインなど、シュルレアリスムを契機に出現したユニークな発想力は、まさに「奇想のモード」として今日にまで影響を与え続けている。
本展では現代から見た〈奇想〉をテーマに、16世紀の歴史的なファッションプレートからコンテンポラリーアートに至るまでを幅広く展覧。シュルレアリスムが与えた影響をひとつの視座に、モードの世界にセンセーションをもたらした美の表現に迫る。

エルザ・スキャパレッリ《イヴニング・ケープ》1938年、京都服飾文化研究財団蔵、広川泰士撮影

マルタン・マルジェラ《ネックレス》2006年、京都服飾文化研究財団蔵、京都服飾文化研究財団撮影

舘鼻則孝《Heel-less Shoes(Lady Pointe)》2014年、個人蔵、GION撮影

ライチョウの足のブローチ、スコットランド WBS(Ward Brothers)工房、1953年、アクセサリーミュージアム蔵