AIで水道管などの劣化を予測するソフトウェアを開発するシリコンバレーの企業、Fracta(フラクタ)。同社CEO 加藤崇さんは日本国内で10~11月に意見広告やTwitterキャンペーンを展開した。「世の中の不平等をなくす」という信条のもと、衆議院議員選挙の前後に自由な発話を促した今回のプロジェクトが生まれた背景とは。


10月26日、朝日新聞に出稿した意見広告。「#GoCRAZY」のイラストはFracta CEO 加藤崇さんの顔。
「クレイジーなアイデア」に着目
衆院選の投開票を5日後に控えた2021年10月26日、朝日新聞朝刊に「クレイジーで行くと、アンフェアが見える。」と呼びかける広告が掲載された。ボディコピーでは「クレイジーで行くと、ひとりじゃないことに気づく。」などと呼びかけている。広告主はFracta、Whole Earth Foundation、メンローパーク・コーヒーの3社を経営する加藤崇さんで、経営者個人の意見広告でもある。クリエイティブディレクションは佐倉康彦さんが手がけた。
企画の発端は2020年12月。加藤さんが以前から親交のあったadkoisの鯉谷淳さんに相談を持ちかけたことが始まりだ。FractaはAIで水道管などインフラの劣化を予測する事業を展開し、既にグローバルでの実績も多い。ただ日本では官公庁や自治体の慣習などから、導入には壁が多いのが現状だ。「このシステムで40兆円が浮くという試算もあるそうです。もしもこのままインフラの劣化を放置すれば公共料金が上がり、市民の不利益になると加藤さんは訴えています」と鯉谷さんは説明する。
そこで着目したのが、加藤さんが手がける事業に共通する「クレイジーなアイデアがアンフェアな世の中を変える」という考え方。Fracta以外の2社の事業も、これらを体現している。「Whole Earth Foundation」ではマンホールの蓋をスマホで撮影・投稿してもらいインフラの保守につなげる位置情報ゲームを...