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体験価値と安心・安全を両立 新しい空間デザイン

世の中の「穴」を解放する場へ

SKWAT

自然と人が集まりコミュニケーションが生まれる、そんな場を次々に生み出している「SKWAT(スクワット)」というアートプロジェクトがある。世の中に「穴」のように空いた場を一時的に“占拠”し、新たな価値を加える運動として、これまで第6弾まで設置された。その場は、どんな考えのもと、どのようにつくられているのだろう。

(左上から)表参道のブティックが並ぶ通り沿いに位置する「SKWAT/twelvebooks」、12月28日まで「COCON KARASUMA」に設置した「SKWAT HERTZ」、「SKWAT/twelvebooks」の地下1階のフリースペース「PARK」、12月4日まで恵比寿に期間限定で設置した「Spot Spo(r)t」。

「void」を専有し、解放する

「SKWAT」の発起人は設計事務所 DAIKEI MILLSの代表 中村圭佑さん。エイベックスやTakramの本社などの空間設計を手がけてきた。

中村さんが学生の頃にロンドンで目の当たりにした、放棄された建物や土地を占拠する「SQUAT」の思想から着想を得たのがSKWAT。世の中にぽっかり空いた「穴」を占拠し、そこに価値を付与することで解放していく運動だという。その「穴」を中村さんは「void(ボイド)」と呼ぶ。

「かみ砕いていうならば、“事象Aと事象Bの狭間の空白”のようなものでしょうか。リアルな空間に限らず、時間やオンライン、社会構造などさまざまな物事のなかにもありうると考えています。その空白に新たな価値を付与して、人が接触しやすい形で提示して空白を顕在化、そこから議論を呼び起こし、空白を一般化=解放していく、というのがSKWATの根本的な思想です」と、中村さんは話す。

具体例を挙げてみよう。SKWATはこれまで第6弾まで実施されており、最初は2019年12月、神宮前にある元々クリーニング店だった小さな一軒家を“占拠”。外壁を青一色に塗りたくり、中には流通に乗らなくなった高価なアートブックを全て1000円で販売する期間限定の本屋「thousandbooks」をオープンした。「第1弾では五輪後に増えると予測された空き家や空きスペースに適切なコンテンツを付与し、その課題(レガシー問題など)を顕在化させると共に、街や社会構造の在り方を模索しようと考えました」と中村さん。

20年5月に表参道駅近くにオープンし、現在も続く「SKWAT/twelvebooks」もそのひとつだ。ハイブランドのブティックが並ぶ通り沿いの大型建築が、五輪前にもかかわらず多くの区画が空きの状態に。そこに対しこれまでの青山と異なる人流をつくり出し、ラグジュアリーの本質を探ることを目的とした。通りに面した1階にはブランド「ルメール」の直営店を配置しつつ、2階に赤一色のフロアが印象的なアートブックストア「SKWAT/twelvebooks」、地下1階にフリースペース「PARK」が入る、SKWATの思想がより顕著化されたサイトスペシフィック(場の特性を活かした、の意)な空間を生み出した。

最近では、21年12月4日までの約1カ月、恵比寿に「Spot Spo(r)t」を設置した。「スポーツは誰のものか?」と問いを投げかけるものだ。

「五輪もありスポーツへの関心が高まる一方、実際に都内でスポーツをしようとすると、施設のレンタル代の高さや、手続きの複雑さなどさまざまなハードルがあります。安全性を過剰に重視した結果、公園でできるスポーツはどんどん限られていくし、五輪の期間は公共の運動場も閉められていたりして。スポーツの公共性に疑問を感じて、プライベートとパブリックの...

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