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雑誌的に「らしさ」を追求した商店街

BONUS TRACK

2020年4月に生まれた、下北沢から世田谷代田にかけてのエリア「BONUS TRACK」。2013年に小田急線が地下化したことに伴い、「ボーナス」的に生まれた線路跡(=トラック)を活用してできたものだ。その場のつくり方について、プロデューサーの2人に話を聞いた。

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「BONUS TRACK」は下北沢から世田谷代田の間に位置する。小田急電鉄が、小田急の地下化によって生まれた土地で開発を進める「下北線路街」の一部にあたる。

場の“らしさ”をどう醸成する?

「BONUS TRACK」のエリア内には、線路跡に沿って飲食店や本屋、コワーキングスペース、シェアキッチンなど常設の店舗が並ぶ。店舗が囲む広場では、毎週のように季節のイベントや朝市、企画展が行われ、特に土日には若者や家族連れなど地域の人々でにぎわいを見せる。

カテゴライズするのなら「複合商業施設」にあたるだろう。しかしこの場をプロデュースする散歩社の小野裕之さん、内沼晋太郎さんはここを“商店街”と呼ぶ。経済産業省の「商店街の現状等に関する基礎資料」によると、商店街とは「中小小売商業者及び中小サービス業者が近接して営業することにより、区域性をもって形成されるそれらの者の集積を指すもの」だそうだ。区域性──すなわち、その区域らしさ、「BONUS TRACK」らしさ──はどのように形づくられているのだろう。

BONUS TRACKという場を、内沼さんは雑誌にたとえてこう話す。「常設の店舗が連載、主に広場で開かれるイベントや企画が特集にあたると考えています。雑誌の“らしさ”はレギュラーの連載が形成し、特集でその時々の世の中の時流に合ったテーマを探求しますよね。そのように、店舗と特集とでBONUS TRACKらしさを生み出しているんです」。

現在BONUS TRACKに入居するのは13店。「恋する豚研究所 コロッケカフェ」「発酵デパートメント」「本の読める店 fuzkue」「pianola records」など、個性豊かな面々がそろう。「テナントは、基本的にはこの場所で新しいチャレンジをしてくれそうな方々に、直接お声がけして決まっていきました。初めて実店舗を出す人、これまでと少し違う業態の店舗を展開したい人、というのが多いですね」と内沼さん。

いわゆるチェーン店が無いことには、もうひとつ理由がある。「本来この区画は住宅しか建てられないエリアで。建物面積の半分以上は住居にしなければいけない、という決まりなんです。だからBONUS TRACKは、基本的に1階が店舗、2階が住居というつくりになっています。母体が大きい法人だと、だれがここに住むのか、どういう名目で予算に組み込むかなどなかなか通りにくい。必然的に...

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