民藝の試みを俯瞰し その可能性を見つめ直す
柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」
宗教哲学者の柳宗悦、陶芸家の濱田庄司と河井寬次郎の考案による新しい美の概念にもとづき、「民藝」という言葉が生まれたのは1925年12月末のこと。
柳らは若くして西洋の情報に触れ、モダンに目覚めた世代ながら、それまで見過ごされてきた日常の生活道具の中に潜む美を見いだし、工芸を通して生活と社会の美的変革を試みてきた。
本展では「美術館」「出版」「流通」という三本柱を掲げた民藝のモダンな「編集」手法と、地方の人・モノ・情報をつないで協働したローカルなネットワークに注目。柳らが蒐集した暮らしの道具類や民画コレクション、出版物、映像など450点を超える作品と資料を通じ、民藝とその内外に広がる社会、歴史や経済を浮かびあがらせる。
美しい「モノ」の蒐集にとどまらず、新作民藝の生産から流通までの仕組みづくり、農村地方の生活改善といった社会の問題提起から衣食住の提案、景観保存にまで広がりをみせた民藝運動の可能性を「近代美術館」の場から見つめ直すチャレンジでもある。音声ガイドは俳優の井浦新が担当。
柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」 | |
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(前期)開催中、12月19日まで(後期)12月21日~2022年2月13日 東京国立近代美術館[東京・千代田区] |