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感じるブックジャケット(AD)

厳かな色味と質感「翼を与えてくれる」ブックジャケット

本間 亮 「THE BOOK GIVES US WINGS」

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。

厳かな色味で大事にしたくなる質感

「アラベール-FS」は1989年に発売され、長年愛されているファインペーパーのひとつ。ナチュラルな風合いが支持され、パンフレットやカタログなど幅広い用途で使われてきた。2021年5月にはホワイト系の3色で四六判T目が加わり、より幅広いシーンで使いやすいラインアップに。白地のイメージが強い紙だが、9色で展開している。その幅広さを活かし、今回は本間亮さんがアッシュグレー、オータムリーブ、スレートブルーの3色で「翼」をモチーフとしたブックジャケットをデザインした。

本間さんは過去にも度々アラベール-FSを使用しており、「厳かな色味で、手元に置いて大事にしたくなる質感がある」という印象を持っていた。「昔からありアナログ感が強い紙だからこそファンタジーの世界にもなじみやすく、翼の持つ軽やかさを表現するのに適していると思いました。本は読む人を物語の中に連れて行って、翼を与えてくれるもの。本を開くとともに翼が広がって、読んでいる途中で本を寝かせておくと“翼を休める”瞬間のようにも見える。そんなデザインに仕上げました。一方で翼自体のモチーフはあくまでさりげなく、抽象的な造形としています」。

翼の部分はオフセット印刷で白色を2度刷りし、消銀の箔押しで翼がきらめくさまを表現している。紙の色や角度によって異なる輝きを放ち、ファンタジーやミステリアスな物語のイメージを増幅させる効果をもたらしている。

本間さん自身も小説を読み、物語に没頭する楽しさを知っているからこそ、本と向き合うさまざまな空間に寄り添えるブックジャケットを目指した。「路地裏にある昔ながらの喫茶店にも合いそうだし、ベッドルームに“羽休め”の状態で置いてあってもいい。空間の中で自然となじむような存在になったら嬉しいですね」。

「石井工務店」ロゴマーク。

「atti」チーズケーキ パッケージ。

    今月使った紙:アラベール-FS

    繊細で優しい風合いを持つ、高品質の非塗工印刷用紙です。白系色に加え、アッシュグレー、オータムリーブ、プリムローズ、スレートブルー、セージグリーンの落ち着いた淡い色合いの5色を揃えています。高い印刷適性を保ちながら、ナチュラルで気品のある表現を可能にします。

本間 亮(ほんま・りょう)
1985年生まれ、山梨県出身。アートディレクター 永井裕明氏に師事し、広告、ブランディングやClロゴ、Web、装丁、パッケージのデザインなどに関わり2018年、Groteskを設立。主な受賞歴:2019年ADC賞ノミネート、2019年JAGDA賞ノミネート、2021年JAGDA賞受賞。

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