伊勢丹「ハッピーエンド始まる。」(1990年、眞木準)他
下心あってこの機会にコピー年鑑を一気読みすることにしました。よく新人コピーライターはコピー年鑑を写経するものだといいますが、僕にそんな経験はなくこれまでじっくり読んだことがなかったのです。むしろこの本を開くと嫉妬したり傷付いたり精神衛生上悪いような気がして敬遠していました。
国際羊毛事務局/1975年
〇C/西村佳也
大成建設/1992年
◯C/安藤寛志
パルコ/1982年
〇C/長沢岳夫
どのコピーも、自分がまだ若い、駆け出しのコピーライターだったときに出会ったものです。この3本以外にもいろいろなコピーに刺激を受け、勉強をさせてもらったので、3本に絞るのは難しかったです。でも思い切って。
「さくさくさく、ぱちん。」。上質なウールを大きな裁ち鋏で切るときの音がキャッチになっています。それまで、あたりまえですがコピーっていうものは言葉で書くものだと思っていました。その思い込みを西村佳也さんは見事に覆してくれました。
自分だったらどう書くだろう、仮にウールにハサミを入れるその感触が品質を物語るのではと気がついたとしても、その感触を何かに例えたりしながらレトリックで必死に再現しようとしたかもしれません。その狭苦しい不自由な考え方に比べ、切っていく音をコピーに選びだすなんて、なんて自由で伸び伸びしたコピーとの...