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リサーチ主導のデザイン

マクルーハンが教えてくれること

山崎みどり

デザイナーの活動領域は無限だ。アディダス、ナイキなどのアートディレクターを経て、現在は東京大学生産技術研究所に所属する山崎みどりさんがデザインと周辺領域の融合について解説する。

マクルーハンが教えてくれること

私もたくさんの人と同じく『攻殻機動隊』のファンなのですが、原作者の士郎正宗さんによるコミックは3巻しかないのに、違う監督・違う顔のヒロインによって進化したストーリーが常に発表され、クオリティをキープし続けているのを不思議に思ったことはありませんか?でもコミックの各ページの枠外にぎっしり書いてある原作者の注釈を読むと、そのプロットは膨大なリサーチによって完全に完成していて、だからこそストーリーを自由に発展させることができるんだと気付きます。

「私たちは無意識にメディアに支配されている」。20世紀中盤に既に、予言者のように未来を言い当てていたのは、マーシャル・マクルーハンというメディア研究の第一人者です。マクルーハンは、私たちはメディアを通して世界のあらゆる側面、自分・他者・文字(言葉)・時間・社会などを無意識に理解している。つまりメディアはメッセージそのものなのだ、としています。

昨今は、ソーシャルメディアの特徴ごとに切り分けられた自分自身が、各プラットフォームに存在していて、『攻殻機動隊』のような超高度情報化社会になる以前に既に、自分自身とメディアとの境界線がなんだか曖昧になってきていることに、みんな薄々気付いているのではないでしょうか。

そんな中、私たち自身が創造の舵をとるには、マーシャル・マクルーハンの考え方を知ることが有効だと思うのです。マクルーハンの文章は詩的で...

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