孤高の天才絵師、北斎の多彩な側面づくしの空間
生誕260年記念企画 特別展「北斎づくし」
90歳で没するまでの70年にわたり、森羅万象を描き抜こうと挑戦を続けた絵師、葛飾北斎。生誕260年を記念した特別展がコロナ禍による延期を経て開催中だ。
『北斎漫画』『冨嶽三十六景』『富嶽百景』の全ページ、全点、全図が一堂に会する前代未聞の本展で会場デザインを手がけるのは、北斎を敬愛し、フランス国立グラン・パレ美術館での「北斎展」会場デザインも担当した建築家の田根剛。キービジュアルや会場グラフィックは、『北斎漫画』(青幻舎)を手がけた祖父江慎。それぞれ本展のコンセプトである「尽くし」をテーマに、北斎の魅力を最大限に引き出している。
展示解説は日本美術を主な領域とするライター・エディターの橋本麻里が担当。展示には、凸版印刷が本展のために新たに取得した、和紙の繊維まで確認できるほどの高精細データも活用される。過剰なほど多彩な“北斎づくし”の空間は必見だ。
生誕260年記念企画 特別展「北斎づくし」 | |
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(前期)開催中、8月9日まで(後期)8月11日~9月17日 東京ミッドタウン・ホール[東京・港区] |
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