気になるあのCMの演出やキャスティングについて、ディレクターにインタビュー。今月取り上げるのは、大塚製薬 ボディメンテ ドリンクの新CMだ。

鎌谷さんが描いた絵コンテ。
自分の経験を企画にも盛り込んだ
家を出て仕事場に向かう松下洸平さん。その足取りはまるで波に乗っているかのように軽やかだ。壁を駆け抜け、空を飛びソファまでジャンプ。雨をものともせず、ダンスを繰り広げる。そして、水溜まりを気持ちよさそうに滑っていく。
演出を担当したのは鎌谷聡次郎さんだ。「依頼を受けた頃、首を寝違えてしまったせいか身体が不調で(笑)。2週間ぐらい治らないし、空もどんよりでメンタル的に落ちていて……。でも、それが治ると天気も良くなって、一気にポジティブになってアイデアも生まれてきた。そんな自分の経験を企画にも盛り込んでいます」。
当初の企画では、すべての信号がいいタイミングで青に変わるシーンなど外的要因にも邪魔されない、体調が良いときの“無敵感”を中心に描こうとしていた。「でももっとメンタルの部分を強めた方が良いんじゃないかと。心が前向きだと思考も変わる。そんな心象風景を描きたいと考えました」。そこで追加したのが、雨の中を軽やかに踊るシーンや、水溜まりを滑っていくシーンだ。普段は嫌な雨もポジティブな気持ちだと、「たまにはそんな日もあるか」と受け止められるし...