IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

広告少年

CMと映画の両方から「わからなさ」を考えてみよう。

松田翔太、吉兼啓介

少年のように広告を愛してやまない2人が広告について探求する連載「広告少年」。「豊かなCM」についてトークが繰り広げられた前号に続き今回は、2人の心をとらえて離さない名作CMの数々が登場。松田さんが最近見た映画からもCMづくりのヒントが導きだされました。

映画は終わる、CMは終わらない?

吉兼:前回は歳の近い僕たちが影響を受けた、1990年代後半あたりのCMについて話しましたよね。商品特性を前面に出すのではなく、少しねじ曲がっていたり、含みや余白があったりするCM、要は「一見わからない(わかりにくい)」CMが、僕らの心に残り続けている、と。そしてそんなCMは、現代ではどうやったらつくっていけるんだろう?という話でした。CMプラナーとしては、惹かれるものをつくらないと、これからの世代の表現につながらないのでは、という危機感もあったりして。

松田:そうですね。答えを引き続き探していこう、僕らの今の思考を残していこう、というのが連載の趣旨です。

吉兼:前回は「わからない」CMについて、企画そのものにフォーカスしましたが、答えがなかなか見つからず。今回も引き続きお互い心に残ったCMを挙げつつ、考えていきましょうか。

松田:話したいCMがありすぎて、時間が足りないかもしれません(笑)。

吉兼:そんな気がします(笑)。

松田:まずはかなり前ですが、JR東海の「クリスマス・エクスプレス」。深津絵里さんが出ていたCMの「会うのが、いちばん。」というコピー、最高ですよね。画角も完璧です。

吉兼:牧瀬里穂さんが出ていた方の、「ジングルベルを鳴らすのは、帰って来るあなたです。」というCMも良かったです。今のように携帯電話などで気軽に連絡が取れる時代じゃないから、グッときたんでしょうね。

松田:うん、僕らはまだ小学校入学前でしたが、記憶に残ってますよね。あとサントリー「ウーロン茶」のシリーズはもう全て好きです。

吉兼:サン・アドが手がけたシリーズ、大好きです。

松田:なんでしょうね、あのお洒落な涼しさ。中国語版の「ラムのラブソング」が使われている「ごはんの幸福」シリーズは、わざとらしくない光とか、撮影がすごくカッコいいんですよね。

吉兼:がっつくの、いいですよね。そして最後の「幸福を笑うな」というコピー。なかなかウーロン茶につけられないですよ。時代性なんだろうなあ。

松田:あと、「サントリーウーロン茶プレミアムクリア」の「雲梯」篇も。空のような背景に浮かぶ雲梯を、下方から女の子たちが昇っていくCMです。抜けのある撮り方とか映像の色味、なんだろう、やっぱり撮影がすごくいいですよね。

吉兼:児玉裕一監督による演出ですね。5人のポーズのシーンは、アニメキャラクターをイメージしたと聞いたことがあります。

松田:そうだったんですね。「ウーロン茶」はペットボトルの商品ながら、引きで撮った映像のイメージが強いです。そのつかみきれない距離感にも惹かれていたのかもしれません。

吉兼:やっぱりCMの話をしだすと止まらないですね(笑)。僕も挙げていいですか?学生時代、ホンダの企業広告「Do you have a HONDA?」の一連のCMが好きでした。特に「インザコーナー」篇。ぬかるみにはまったモトクロスバイクを、泥だらけになりながら立ち上げ、もう一度バイクにまたがる。キックペダルを何度も踏み、エンジンをかけようとする。そんな一連の動作を撮ったものです。

松田:これいいですよね。最後に他のライダーが転ぶシーンがあるけど、これってドキュメンタリーなんですか?

吉兼:聞くところによると、よく転ぶポイントでカメラを構えておいたんですって。そして最後に出る、切り文字の「Do you have a HONDA?」。創業者 本田宗一郎さんの「遊び心」を体現したコピーとして有名ですよね。「ホンダ、持ってる?」は、「遊び心、持っている?」と同義という。

松田:ブランド名自体に意味を重ねているんですね。いやあ、カッコいい。

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る