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リサーチ主導のデザイン

金平糖のプロトタイプをデザイン

山崎みどり

デザイナーの活動領域は無限だ。アディダス、ナイキなどのアートディレクターを経て、現在は東京大学生産技術研究所に所属する山崎みどりさんがデザインと周辺領域の融合について解説する。

金平糖のプロトタイプをデザイン

誰もが好きになる、完全無欠なデザインができたらいいなと思ったことはありませんか?誰もが好きなもの……と考えてみると、青空や桜の花を醜いと言う人はそういないのではと思います。でも、それってなぜでしょうか?どうやったら創れるのでしょうか?

私は仮説のひとつとして自然のAesthetics(美学)に興味をもっています。今までマス規模のデザインをすることが多かったので、誰でも美しいと感じる普遍的な美に興味があり、自然のアルゴリズムを応用したデザインを試みています。

400年以上の歴史をもつ、砂糖を結晶化させた日本の伝統的なキャンディ、金平糖は、いわば単なる砂糖の塊なのですが、どこか好きになる愛らしい形をしていますよね。なぜあんな突起があるのか?それ自体がデザインなのでは?と思ったのがKonpeitoプロジェクトの始まりでした。

このプロジェクトは、東京大学生産技術研究所(IIS)小倉研究室・新野研究室・構造計画研究所(KKE)、金平糖製造の伝統技術職人、そしてデザインとサイエンスの融合によるイノベーションを創るDLX Design Labの分野横断的なコラボレーションによって行われ、KKEの粉体解析シミュレーションシステム、iGRAFを活用して、その金平糖の形状ができるメカニズムを工学的な視点でリサーチし、新たな伝統技術のあり方の創造を試みました。

金平糖は、溶けた糖蜜が...

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