赤瀬川原平のパロディーとユーモア
これまでデザインに関して、たくさんの人やものから影響を受けてきました。その中でもデザインに対する態度で最も影響を受け、今もたびたび思い出すものがあります。それは、前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代に週刊誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で連載していた『櫻画報』です。
デザインの見方
高校3年生の時、兵庫県の地元の書店で出会ったのが、2冊の『Dazed & Confused』でした。表紙は「笑いながら燃える女性」の号と、「女性の胸の部分がスクラッチできるようになっている」号。なぜ片田舎の書店に、あんなに尖った雑誌が置かれていたのか。今でもわかりません。その頃の僕は、プロダクトデザイナーを目指して、大学の受験勉強真っただ中。美術の予備校に行き、ひたすらデッサンを描く日々でした。だから何か刺激が欲しかったのかもしれません。ついその2冊を買ったのでした。
その雑誌で知ったのが、伝説のフォトグラファーたち。特に「笑いながら燃える女性」を撮影したRANKINの存在を知った時、猛烈にフォトグラファーになりたくなってしまった。実際、受験では写真学科も受かりました。でもふと現実に返り、「フォトグラファーになって食べていけるのだろうか⋯⋯」と思ってしまって。予定通りプロダクトデザイナー学科に進学しました。
とはいえ、写真へのあこがれは捨てきれず、大学在学中も写真を撮っていました。そんなある時、気付きがあったんです。僕はフォトグラファーになりたいんじゃなくて、その写真を自分のものにしたい、のだと。要は、その人たちと一緒に仕事をしたかった。そこで調べて知ったのがアートディレクターという仕事。今の道に進むきっかけになりました。
博報堂で仕事をする中で...