企業の未来を象徴するブランド
ミツカンは2019年3月5日、同社初のD2Cブランド「ZENB(ゼンブ)」をローンチした。コンセプトは、「『食べる』のぜんぶを、新しく。」。商品開発の段階からデザイン面に力を入れ、売上も昨年比8倍と成長している。国内外で商品を展開するミツカンはなぜD2Cのブランドを立ち上げたのだろうか。
ユーザーの心を動かす D2Cブランドのデザイン戦略
ロート製薬は2020年7月22日、D2Cのスキンケアブランド「SKIO(スキオ)」を発売した。商品からコミュニケーションまで一貫したブランドのコンセプトは、「無理なく、無駄なく、美しく」。ブランドと消費者の“出会い”の瞬間から工夫を詰め込んでいる。
SKIOの企画が生まれたのは、2018年の後半、ロート製薬のプレステージスキンケア事業部からだ。その背景を同マーケティングマネージャー 石井雪さんはこう振り返る。「プレステージスキンケア事業部では、『エピステーム』『オバジ』などのブランドを展開しています。主に百貨店、またドラッグストアでのカウンセリングを通じ、1to1でお客さまと向き合うことを大切にしてきました。これまでリアルの店舗がメインでしたが、デジタルを介してお客さまと向き合えないか可能性を探り始めたことが、ブランドが生まれた背景にあります」。
ブランドを新たにスタートするにあたり、社内外でのヒアリングを実施したところ、ニーズが明らかになってきたという。
「30代以上の女性に話を聞いたところ、仕事で社会からの期待が高まったり、子どもが生まれたりと、ライフステージが大きく変化することで時間的にも気持ち的にも余裕がない日々を送っていることがわかりました。だからといって、時短のためにオールインワンのスキンケア製品を使うのは、“手抜きのようで自分らしくない気がする”という声も。効率も効果も兼ね備えた製品が求められていました」(石井さん)。
そんな意見も受け、SKIOのチームが感じた疑問は「身の回りのガジェットや家電など世の中のあらゆるものは進化していくのに、なぜスキンケアは進化していないのだろう」ということだった。洗顔、化粧水、美容液、乳液、クリーム……通常いくつもあるステップを省きつつ、効果も賢く追求する。そんなブランドの目指す姿が徐々に見えてきたのだった。
研究開発が進み、洗顔、美容液、美容ゲルの3つをメインのラインアップとすることに。2019年初頭、商品のプロトタイプができてきた頃から...