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SDGsの達成へ クリエイターが考える持続可能な社会

日本にも導入 容器を再利用する「Loop」が生み出す価値

Loop Japan「Loop」

食品や生活用品の容器ボトルを再利用可能なものに置き換える、循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」が3月から都内で導入される。使い捨てプラスチックの削減を目指し欧米で先行している取り組みだが、容器ボトルのデザインも利用時の付加価値となっている。

循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」の仕組み。

本国では「利便性」「デザイン」に評価

世界20カ国以上でリサイクル事業を手がける米国のベンチャー企業、テラサイクルが2019年5月にアメリカ、フランスでスタートした「Loop」。再利用可能な容器ボトルを用いてECや小売店で販売し、使用後に容器ボトルを回収、洗浄、再充填の後に再販売することでごみを減らす仕組みだ。日本で古くから浸透していた、再利用できる牛乳びんを用いた配達システムと原理は同じと考えるとイメージしやすいだろう。現在はイギリス、カナダにも導入され、食品や生活用品など200以上のブランドで500以上の商品が展開中だ。

日本でも2021年3月に東京都内からスタートする。Loop専用の容器ボトルを使用した販売・回収経路は2種類あり、開始当初はECで5000世帯、小売店経由ではイオン17店での導入となる。現在までに参入を表明しているメーカーは24社で、アース製薬(モンダミン)、味の素(ほんだし・丸鶏がらスープ・コンソメ)、エステー(消臭力)、キヤノン(プリンター用インク)、ネイチャーズウェイ(マジックソープ)、フィッツコーポレーション(ルームフレグランス)、P&Gジャパン(アリエール・ジョイ・ジレット)、ロッテ(キシリトールガム)など。

先行するアメリカではLoopの利用実態についてユーザーの意識調査を実施したところ、利用する理由として「利便性」「デザイン性の高いパッケージ」が上位となった。Loop 広報担当 冨田大介さんは「最も多いと想定していた理由は“環境にいい”“ごみが減らせる”でしたが、結果は三番手。裏を返せば環境配慮への意識がそれほど高くない人でも、機能性やデザインをきっかけにLoopを使う動機を持てるということです」と説明する。

Loopの海外展開例。

3つの基準のもと容器ボトルを開発

Loopの容器ボトルはテラサイクルがガイドラインを定め、「耐久性」「洗浄のしやすさ」「LCA(Life Cycle Assessment)」という3つの基準のもと、メーカーが容器を開発しLoopが試験を行う。最低でも10回繰り返して使用でき、洗浄しやすく衛生面にも配慮したシンプルなデザインであること。また従来品に比べて製造、使用過程でCO2排出量がどのくらい抑えられるかという点も配慮が必要だ。ステンレスやガラスなど、容器に使える素材についても定められている。

「これらの基準を満たそうとすると、自ずと削ぎ落とされたシンプルなデザインになります。機能性が高いことはもちろん、制限がある中でブランドの世界観をいかに表現し、“パッケージがかっこいいから使いたい”という気持ちにさせるか──先行する各国でも試行錯誤が繰り返されています」。たとえばアメリカでは、ハーゲンダッツがステンレスの容器でアイスクリームを販売しているが「容器を持つ手が冷えてしまう」という声が多かった。そこで容器を二重構造にして、冷たさが直接伝わらないよう改良した事例がある。

日本では今回、ロッテがLoop向けに「キシリトールガム」のパッケージを開発。耐久性のあるステンレス製の容器を採用した。サテン仕上げの表面加工で落ち着きのある質感を表現したほか、レーザー加工でブランドロゴを施し、繰り返しの洗浄によるデザインの劣化を防いでいる。中の構造も、喫食時に手を入れやすくリユース時に洗浄しやすいよう広口に。蓋は開閉しやすいよう、スクリューキャップではなく茶筒のように抜き差しできる構造とした。本体口部にはパッキンを設け、ガムが入った状態で上部だけを持っても蓋が抜けてしまわないように配慮している。

エステーも「消臭力」でLoop向けのパッケージを導入した。本体はガラス製だが、蓋はポリプロピレン、内キャップはポリエチレン。どちらも単一素材でリサイクルを行う。「いかにも消臭芳香剤だと思われるアイテムを、目に入るところに置いておくことに抵抗がある」という声もあることから、シンプルでインテリアを選ばないという点を意識し容器を開発した。

「近年、多くのメーカーが“より低いコストで軽い”パッケージを開発し、リユースしやすさ、リサイクルしやすさを犠牲にしてきたと思います。その状況を逆転させるのがLoopの取り組み。牛乳びんを用いた配達のシステムがそうであったように、容器の所有権を消費者からメーカーに戻す取り組みでもあります。これにより容器がメーカーの資産となり、さらに高い付加価値やデザイン性を持ったパッケージへの投資が可能になる。繰り返し使うからこそ容器のコストも抑えられる。そういう仕組みを構築できればと思います」(冨田さん)。

以下、日本でのLoopの展開例。ロッテ「Loopキシリトールガム<ライムミント>」。

エステー「Loop 消臭力クリアビーズ イオン消臭プラス 無香料」。

味の素は「ほんだし®」「丸鶏がらスープ」「味の素KKコンソメ」顆粒タイプで展開。完全プラスチックフリーの容器で、並べてインテリアとしても楽しめるデザインに。

キヤノンは「インクボトル GI-30」を展開。海洋プラスチックごみ問題の改善への願いを込め、デフォルメした海洋生物をモチーフに。

P&Gジャパン「アリエール」「ジョイ」。「ジレット」でも展開している。海外ではP&Gの11の製品ブランドが参画。

Loop
広報担当
冨田大介さん

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