「見えづらい」を「見える」に変えるプロジェクト
2006年に富士通研究所から独立し、半導体レーザの開発・製造・販売を手がけてきたQDレーザ(神奈川・川崎)。弱視(ロービジョン)の人をサポートするレーザ技術を有し、製品化を進めてきた。20年12月には電通やAOI Pro.とともにその技術を活用したプロジェクト「With My Eyes」を開始した。
SDGsの達成へ クリエイターが考える持続可能な社会
2007年、資源を循環させるインフラ構築を目的に設立された日本環境設計。2009年に衣服の回収を開始し、リサイクル、アパレル製品のD2Cまで手がけてきた。「服から服をつくる」という新たな“文化”を形成し、行動を変えるためのデザインとは。
独自技術で「服から服をつくる」を実現するBRING。
1950年代に工業化され、誕生したポリエステル繊維。現在、繊維産業の6割を占めており重量にすると年間で約5200万トン生産されている。一方、世界中のアパレル産業では毎年9200万トンが廃棄されている現状がある。そこで日本環境設計が開発したのが、ポリエステルを分子レベルでリサイクルし、新たなポリエステルに繰り返し生まれ変わらせる技術だ。
「世界中のポリエステルをすべてサステナブルに再生する環境をつくる、というのが最終目標。少なくとも100年以上かかると思います。2009年から累計3000トンの衣類を回収しましたが、ここ2年ほどで一気に関心が高まっている状況です」。そう説明するのは、日本環境設計 プロダクトマーケティング課 課長 中村崇之さん。衣服の回収拠点は良品計画やスノーピークなど、約100ブランド1500店舗で展開中だ。
同社では現在「BRING」ブランドのもと、店舗での衣服の回収とリサイクル、再生ポリエステルの製造と販売、自社ブランドでのアパレル製品のD2Cを一気通貫で手がけている。2017年には福岡県に北九州響灘工場を竣工。再生ポリエステルの生産を開始し、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現に向けてインフラを構築してきた。
2009年に入社した中村さんだが、学生時代にはメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ」に入賞するなどアーティストとしての顔を持つ。「当初はWebでTシャツを販売するから入社しないか、という話でした(笑)。創業者は繊維商社出身でリテールや繊維産業のプロでしたが、アーティストは人間の欲望をとらえるプロ。サービスのデザインを考え、新たな社会装置や文化をつくるという点では異なる領域の目線も必要だったのではないかと思います」。