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SDGsの達成へ クリエイターが考える持続可能な社会

食を通じて「気づき」を提供するレストラン

Innovation Design「KITCHEN MANE」

横浜・馬車道のレストラン「KITCHEN MANE」。2019年9月に日本独自の発展を遂げた洋食を楽しめるレストランとしてオープンしたが、とあるドライフルーツとの出会いをきっかけに運営母体ともに大きく方針を転換。「“食”を通して社会課題の解決を目指す」をコンセプトとし、21年1月に再出発へ舵を切った。

コロナ下で企業の方針を転換

「KITCHEN MANE」を運営するのは、飲食・物販事業や事業再生コンサルティングを手がけるInnovation Design。企業としての方針を転換したことには、きっかけが3つあった、と同社 サステナブルデザイン室長 表秀明さんは振り返る。

「ひとつ目は19年末に、レストランと同じ建物の1階で物販事業を行う『haishop』の商品選定をする中で、その近くのマルシェで農家の方が売っていた、廃棄予定のフルーツを使ったドライフルーツとの出会いからでした。農家の方からお話を聞き、廃棄されてしまう野菜の存在をより多くの方に知ってもらいたいと、強く思うように。他にもさまざまな出会いがある中で、デザインエージェンシー HI(NY)のデザイナーから初めてSDGsという言葉を教わりました。恥ずかしいことに、それまで言葉さえ知らなくて。でもその17のゴールがより良い社会・未来を生むという考えが、地方創生や事業再生などのコンサルティング領域での僕自身の経験と照らし合わせてもすごくしっくりきたんです」。

その後すぐに会社のビジョンを「人と企業の未来を描く」から「人と地球の未来を描く」に変更。指針が定まったタイミングだった。

20年2月に開催された「サステナブル・ブランド国際会議」への参加が第2の転機となる。「それまでは主に食品ロス問題に注目していましたが、ある地域の食品ロス問題が他の国の別の社会問題と結びついていたりと、SDGsの17のゴールが全て互いにつながったものだと学びました。ターゲットを絞るのではなく、より広い視野で取り組む必要があると感じました」。ところがその後コロナウイルスの感染拡大に伴い、店舗の休業を余儀なくされた。その期間を利用して、表さんは社内への啓蒙を進めていく。

3つ目の契機となったのは、8月に日本サステイナブル・レストラン協会(SRA)に加入したことだった。「10カテゴリ・250個のチェック項目を用いて、その飲食店がいかにサステナビリティに配慮しているかを知ることができます。『地産地消と旬の食材の推進』や『3Rを推進している』など項目が沢山あり、広い視野でサステナブルに取り組みたかった僕らの考えとフィットしました」。それらの項目を指標とし、会社全体を変革する取り組みが続いた。

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