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リサーチ主導のデザイン

ビジュアルデザインで海況データを可視化する

山崎みどり

デザイナーの活動領域は無限だ。アディダス、ナイキなどのアートディレクターを経て、現在は東京大学生産技術研究所に所属する山崎みどりさんがデザインと周辺領域の融合について解説する。

「WAVE ARCHIVE」の始まり

キラキラ光が反射する穏やかなロンドン郊外のビーチの前で、私は友人を簡単に信じた自分をはげしく後悔していました。留学に必要な英語試験に合格して、サーフィンにも行けない長い勉強生活からやっと解放された私は、サーフィンに行ってみようと思い立ちました。ロンドン郊外に住んでいる友人が「サーフィンにおいでよ」と誘ってくれたのです。

結果、私は数日間ビーチの水面をただ眺めることになりました。後からわかったのですが、その友人はサーフィンをしたことがなく、そのビーチはサーフスポットではありませんでした。そしてこれが今も続けているリサーチ「WAVE ARCHIVE」の始まりでした。

ロンドン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズで私が行ったリサーチは海況データの可視化で、世界のサーフスポットの年間波データを自然のアルゴリズムを使ったコンピュータプログラミングで可視化し、各ポイントにおける波傾向の表示方法を開発しました。初めてのリサーチクエスチョンは「ビジュアルデザインで、どのようにして複雑な海況データを美しくわかりやすくすることができるか?」でした。疑問があるからリサーチをするわけなので、これが全ての始まりです。

この最終結論としてデータの可視化を行ったわけですが、プログラミングができなかった私にとって、それは全く予想外の展開でした。サーフスポットのフィールドリサーチが波の物理法則の...

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