ここでは定性的なデータ、クリエイターの想いにフォーカスします。今課題に感じていること、自分なりの工夫、理想の働き方──。304人から寄せられた生の声の一部を紹介します。
場所
出勤は、撮影やナレーション収録など、どうしても必要な場合のみ。ポスターの色校正や、素材選定なども自宅への送付が中心となり、協力会社との打ち合わせもオンラインが当たり前となった。
はじめはリモートの方が絶対いい!と思っていたけれど、デスクの広さ、疲れにくいチェアなど小さなことから、コミュニケーション含め、出社した方がはかどる、と思うことが増えてきました。
今までのオフィスの主な役割は、管理(悪い意味で)することだったのではないでしょうか。今後はコミュニケーションする場へシフトしていけば、評価方法も変わるし、仕事の方法、そして思考が変わっていくのではと期待しています。
在宅メインだったため、ワーケーションを活用して地方からリモートで働くなどの気晴らしを行った。このまま在宅勤務がより普及すれば、ワーケーション向けのリゾート(高速Wi-Fi完備やITエキスパート常駐のホテル)みたいなものが増えて、福利厚生でそこを使える制度などがあったらよりこういった働き方を満喫できると感じた。
遠方でオファーを出しづらかった相手との仕事機会が増加した。
会社がリモートワークに対応できる環境を整備することに舵を切らない。上司もリモートワークに舵を切らないため働き方があまり変わっていない。二言目にはこの業界はリモートじゃ無理、というだけで時代に取り残される人が多そう。
リモートワーク自体は、現時点ではストレスだと感じる。過渡期だから、そう感じるのかもしれない。ひょっとしたら、それがストレスでなくなった時点で「リモートワーク」という言葉自体も死語になるのかもしれない。
クリエイティブという仕事の性格上、現状のリモート打ち合わせはリアル打ち合わせと比べてかなり効率が悪いと思います。ただ、「やっぱりリアルで会うのが一番だよね」という意味ではなく、今のZoomやTeams、Google Meetの機能不足というだけで、リモートミーティングソフトの機能アップで解決できると思います。持ち寄ったみんなの企画を手軽に一覧できたり、並べ替えや取捨選択を参加者全員で直感的にできる機能など、クリエイティブ業界にマッチしたリモートミーティングツールが出てくることを期待しています。
時間
移動に充てられていた時間を、じっくり考える時間に充てることができた。また、自宅にいる時間が増えたこともあり、これまでよりインプットの機会が増え、アウトプットの質が向上したように思う。
時間の使い方に関しては、元々時間の使い方が上手い人と下手な人の差が広がったイメージです。
新規性あるアイデアを考える機会として、実は通勤移動時間が大事だったということにも気づきました。
気軽に打ち合わせを入れられ過ぎることは課題です。
在宅ワークが主になり、退勤という物理的な切り替えができなくなった。そのためいつでも働ける環境になり、人に見えない残業や時間外の対応が増えてしまった。
労働時間とそうでない時間の境界が曖昧になった。そのことで「まだ考えるか?もう今日は仕事をやめるか?」の判断も曖昧になった気がする。個人的には、あまり良い傾向ではないと思っている。
自分が満足いくために長時間労働となるなら、それはストレスにならないはずだが、企業や上司やクライアントからの指示でそうなるべきではない。ワークライフバランスを重視して勤務先や仕事内容を選ぶなど、クリエイティブ業界でも個々人の選択に任されてきている。
残業時間の削減を厳しく求められるようになり、納得していないクオリティで納品するケースもあった。だが、依頼側からそれに対して不満の声を聞くことはなく、クオリティとはクリエイターの自己満足だったのか?と自問自答してしまう……。
ひとつの案件を企画するときに、ある1日に長い時間を使うのではなく、何日かにわたって数時間ずつ使い、細かく寝かせながら進めるようになりました。1日の中で長時間労働を防ぐ意味もありますが、社会状況が目まぐるしく変わり、受け手の感覚も大きな影響を受けているためでもあります。勢いだけで進めるのではなく、受け取ってもらえるか、傷つけないかといったことを時間をかけて検討しながら企画をした方が、「いま」に届く企画やアウトプットになると感じています。
「疲れ」にフォーカスするようになった。通勤の疲れがないことに気がついたことがきっかけ。朝一からWebを見ずにまず仕事をして(いちばん頭が動く)、リモートの日は必ずお昼寝の時間を入れることにした(30分)。疲れを最小限にすることで効率が上がったからか、アイデアが採用されることが増えた。
企画や制作にかける時間の使い方については、ひとりで抱え込まずできるだけチームの方々と協力体制をとり...