Webメディアの中でも取材力や影響力に定評のある「ねとらぼ」「BuzzFeed Japan」「ハフポスト日本版」の編集部が、2020年に特に反響のあった広告表現や企業メッセージを起点とする記事をピックアップ。「ニュースを生み出す広告」の共通項をメディアの視点から探る。
話題になる広告・ならない広告の違い
「今気になる・人に話したい旬のネタ」をニュースとして発信する「ねとらぼ」編集長の加藤亘さんは、「STAYHOMEが続き、いつも以上に広告が届かない可能性がある、という状況下でアイデアが光る広告」を中心に10本を選んだ。
最近では、シオノギヘルスケアの風邪薬の中づり広告のメッセージについて取り上げた記事「『かぜの時はお家で休もう』風邪薬の広告に共感の嵐」(10月6日)への反響が大きかった。
「個人的にはセブンツーセブンのオコジョの広告(7月28日)も好きでした。広告を見た人が写真を撮って拡散したくなる装置をきちんと仕掛けていて、上手いなと。あと僕自身が近隣に住んでいるので、としまえんの閉園告知(8月30日)や、西武線車内の広告(10月4日)も推したいですね(笑)。ねとらぼでは特にジャンルごとの担当制はなく、話題を見つけてきた人が深掘りするスタイル。炎上などのネガティブな話題はなるべく客観的に、当事者の声も交えて取り扱うようにします」。
編集部では「話題になる」以前の広告事例の情報が多数寄せられるが、「惜しいな」と思うことも多い。「期待して記事にしても、実際に盛り上がるものとそうでもないものは半々くらい。その違いは何か?と言われると難しいのですが、話題になった広告は発信主体のキャラクターのパワーを含め、共感させるフックがある。さらに、アイデアをひねり出したんだなと感じさせる痕跡があり、一点突破している。それでいてどこか隙があってツッコミどころがあるものは確度が高いなと思います」。
ねとらぼ
(アイティメディア)
(アイティメディア)
2011年4月スタート。加藤亘さんが開設時から編集長を務める。ネット上の旬な情報を、ジャンルを問わずに幅広く紹介する。月間PVは8月には3.7億を突破。編集部は31人。
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2020年注目の記事
※日付は記事の掲載日
〇西武・そごう
「土俵際、もはや絶体絶命」年始早々に絶望的な広告→ひっくり返すと……?自分らしく戦う人たちにエールを送る西武・そごうの広告、その意図を聞いた(1月6日)
〇ドラえもん「STAY HOME」プロジェクト
「のび太になろう。」STAY HOME呼びかけ広告に「励まされる」と反響「いっしょうけんめいのんびりしよう」(5月5日)
〇岐阜新聞「STAYHOME with newspaper」
「パワポで作った」離れると意味が分かる岐阜新聞の「Stay Home」広告が話題、制作したのはデザイン経験のない営業社員(5月7日)
〇あきんどスシロー
「スシロー」の映像広告がまさに回転寿司!横長の大型デジタルサイネージを生かした動きが未来っぽい(5月23日)
〇大日本除虫菊
KINCHO、コロナで「もうどう広告したらいいのかわからないので」と新聞広告を6種製作&全公開 数撃ちゃ当たる作戦に出る(5月29日)
〇セブンツーセブン
「看板広告なんてご覧にならないと思いますので」表参道駅に“オコジョかわいい”しか言ってない謎広告現れ大人気に(7月28日)
〇ナイキ
Nikeの広告動画が「労力えげつない」と話題に 画面左右で違うスポーツ映像を自然に合成(8月1日)
〇としまえん
朝日新聞に閉園間近の「としまえん」の新聞広告 モチーフになったのは『あしたのジョー』のラストシーン(8月30日)
〇講談社(西武線車内広告)
「おまえら、テレワークしないの?」西武線の車内広告が「煽り性能高い」と話題に キレ味鋭い指摘に「あ?」「今しかできない」(10月4日)
〇シオノギヘルスケア
「かぜの時はお家で休もう」風邪薬の広告に共感の嵐 製薬会社「つらい時に休めるやさしい社会になるよう願っています」(10月6日)
現実を描くべきか、理想を描くべきか
続いて、ダイバーシティ関連の話題を多く取り上げているBuzzFeed Japan編集長の小林明子さんは6本の記事を挙げてくれた。そのうち...