10月5日から期間限定で“かわいい”を表現した50種類のパッケージをまとった「ピノ」が全国で販売中だ。それに合わせて、オリジナルのパッケージをつくれる「ピノかわいいパッケージ ジェネレーター」、「ピノコ」が登場するWeb動画、Webメディアとのコラボなど幅広く企画を展開する。
多様な「かわいい」を肯定する
誰もが一度は食べたことがあるであろう森永乳業のアイス「ピノ」。1976年の発売以来、多くの小売店に並ぶ人気商品で売上も伸びている。あえて課題をあげるとすれば、「コアなファン」がいないこと。2019年の10月、改めてピノの価値を探すところから数年計画で企画はスタートした。
「打ち合わせの中で、ピノの個性は『かわいい』ことに集約されるのではないかと気づきました。一口で食べられるサイズ、シェアできること、独特の形も全部『かわいい』。アイス市場の中で、『かわいい』から買うという新しい選び方を確立させる。そのことをチームで1年間考えていきました」と電通 アートディレクター 井本善之さん。
世の中には「ブサかわいい」「ゆるかわいい」、さらには「おじさんかわいい」などあらゆる「かわいい」がある。そこでまずは、各分野の専門家らに「かわいい」について取材をしたという。「かわいい」論を研究する大阪大学 入戸野宏教授には学術的視点で、人気雑貨店の店長からはカルチャー視点で、ファッション雑誌の編集者からはアパレルの視点で話を聞いた。他にも多くの専門家に取材したというが、それぞれが異なる考え方を持っていた。
「『かわいい』はひとつの正解があるわけではなく、みんなの正解がある。そこに順位や優劣はない。多様性が重要な世の中で、とても大事な価値観になると考えました」(コミュニケーションプランナー 加藤倫子さん)。そこで、多様な「かわいい」をピノが肯定し、発信することで、「かわいい」という価値観について「ピノ」を中心に話してもらうことを目指し、キャンペーンを設計した。
自分なりの「かわいい」を表明できるコミュニケーション設計
「多様な『かわいい』をまとったパッケージを50種類つくることで...