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デザインの見方

鈴木くんの話

神原秀夫

「ファスナーの船」(2004/2010)「瀬戸内国際芸術祭2010」出展。

「ファスナーの船」(2004/2018)「隅田川 森羅万象 墨に夢」出展。

この取材の依頼が来て、何を挙げようか色々と迷ったのですが、鈴木康広くんの「ファスナーの船」にすることにしました。

作者の鈴木くんとは、東京造形大学の頃の同級生です。在学中は、お互いなんとなく知っていながら、特に親しくなることはありませんでした。ひとつだけ覚えているのは、食堂で鈴木くんが一人で真ん丸のメロンを持っていたこと。不思議に思って「何してるの?」って聞いたのを覚えています。

初めて顔と作品が一致したのは、卒業制作の発表時。彼の作品は「inter reflection(椅子の反映)」というもので、床に置かれた円盤上のミニチュアの椅子がリアルタイムで壁面に大きく投影されていました。それは学生時代に知った最初の彼の作品で、すごいな・・・・・・、あの人(鈴木くん)はこんなものをつくるのか、と思いました。

それから約1年後。とあるコンペの授賞式で、鈴木くんに偶然再会したんです。その足でそのまま「銀座ライオン」に行き、ビールを飲みながら見せてもらったのが「ファスナーの船」のスケッチでした。

飛行機の窓から東京湾を見下ろした時、海を進む船とその船跡が、ファスナーのように見えたそうです。その時は、ファスナーが海を開くというのが分かりやすくて良いなと思い「面白いね、実現した方がいいよ」と話したものの、模型かCGで実現するものかと思っていたんです。でも彼は...

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