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リゾートホテルの次のかたち「SORANO HOTEL」

グエナエル・ニコラ

グエナエル・ニコラさんと話していて、東京都立川市にホテルをつくったと聞いた。「なぜ立川にホテル?」と疑問が湧いて見に行ったところ、予想以上にチャーミングな佇まいにびっくり。改めてデザインの意図するところをインタビューした。

メインエントランス。グランピングをイメージしたテント型のルーバーが際立つ。

空と緑に彩られた景色をデザイン

「SORANO HOTEL(以下、ソラノホテル)」は、JR立川駅から徒歩5分ほどのロケーション。「GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)」という大きな文化・商業施設の中に位置している。今どきの地域開発だから、大きなモールの中にショップや映画館、スポーツジムなどがぎっしり入っている施設と勝手に想像していたのだがまったく違う。

豊かな緑を備えた広場的な空間に、ゆったりした構えのショップが一軒家のように連なっている。奥には巨大なホールがあって、小さな町が出現したかのよう──人の賑わいと便利さのバランスがいいし、緑と空が近くにあって、施設そのものと暮らしや文化がつながっている。全体コンセプトである「Well-being 心にもからだにも健やかであること」を体現している。これからの時代にフィットする施設と魅せられた。

その一隅にあるのが「ソラノホテル」で、ここにも独自性が盛り込まれている。「立川のホテル?と最初はイメージが湧かなかったが、立地を精査して、前景には昭和記念公園が広がり、施設自体が実質的な2階レベルになっている。空と緑に彩られた景色をデザインに活かそうと考えた」とニコラさん。

まず入口は、大きな三角屋根を備えた空間。導入部から既に、光と風が通り抜ける開放感を感じさせる。「自然の豊かさを感じるグランピングにヒントを得てテントのイメージから入った」とニコラさん。いつもと異なる環境の中で、自然を目の当たりにした心身が、少しずつ解れて息づいていく。日常に近いリゾートホテルという考えが、そうと語らなくても空間の佇まいから伝わってくるのだ。

開放的なメインロビーの様子。

クローズドな時間のコントロールを大事に

エレベーターホールから客室へ──照明を落とした通路の壁面に凹凸が付けてあって、ちょっとした路地をつたい歩くような感覚。そして扉を開けると、視界が拓ける明るい空間が──客室は、52㎡以上とゆったりとした造り。全室パークビューということで、バルコニーと大きな窓が配されていて、空と緑に彩られた空気を味わえるのも圧巻だ...

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