ヤマハが発表した、「音」を通じた新たなリモート応援システム「Remote Cheerer」。目ではなく耳で感じる「バーチャル」、その可能性やいかに?
双方向性のある中継を可能に
7月17日にテレビ新広島で放映された、プロ野球広島東洋カープ対東京ヤクルト戦。新型コロナ禍で客席間にも一定の距離が設けられており、カープファンの熱狂的な応援も今ばかりは盛り上がりに欠けるのでは・・・・・・と思いきや、選手の活躍に合わせ、歓声や拍手、おなじみカンフーバット(野球のバットを2つつなげた、叩いて音を鳴らす応援グッズ)の音が盛大に響いてくる。どのような仕組みなのだろうか。
実はこれ、ヤマハが今年4月にベータ版を発表したリモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD(以下、Remote Cheerer)」を活用したもの。遠隔地でライブを鑑賞したりスポーツを観戦したりする人がスマートフォンを通じて拍手や歓声を会場に届けられるシステムだ。
今回はキリンビール「のどごし〈生〉」の協賛で、先述の試合と連動した「声よ届け リモ―ト応援プロジェクト」として実施。特設Webサイトからアクセスできる応援画面には主に「拍手」「歓声」「カンフーバット」「残念」の4つのボタンを用意した。視聴者がタップすると、その音がテレビ中継の副音声で流れる仕組みだという。
「Remote Cheerer」のプロジェクトリーダーを務めるヤマハ SoundUDグループ瀬戸優樹さんは、「インタラクティブな中継を実現したかった」と話す。
「ラジオでスポーツ中継が始まってから約100年。その後テレビ中継、ネット中継などメディアは拡大してきたものの、中継を通じて応援する人の声は物理的に届けられずにいました。そこで、中継を観ている人も画面の向こう側に働きかけられるシステムをつくろうと、数年前に着想。スマートフォンの普及や通信環境の向上を経て、開発が始まったのが2年ほど前のことです。その後今回のコロナ禍で、活用いただけるシーンもさらに広がるのではと考え、スケジュールを半年以上前倒ししてローンチに至りました」(瀬戸さん)。
ライブ配信の視聴者が文字を流したり、アイコンを表示したりできるインタラクティブなサービスは既にほかにもある。その中でも「音」に絞ったのは、「プレイヤーは音で応援を感じている」ことに注目したからだ。
「選手が集中している試合中に画像や映像を確認してもらうのは、なかなか難しいことです。関係者へのヒアリングを重ねた結果...