コロナ禍においてIBMでは、グローバルでブランド広告を展開。日本向けに表現をローカライズし、IBMとしてのコロナへの向き合い方や緊急時の企業へのサポート姿勢を示した。在宅で変化したメディア接触も踏まえ新たに音声広告なども活用した。

6月18日、6月24日に日本経済新聞に出稿した全30段広告。
「7つの新しい発想」新聞広告で展開
日本アイ・ビー・エム(IBM)は6月18日、日本経済新聞に「いま世界は新しい発想をもとに動き始めました。」というコピーの全30段広告を出稿した。「グローバルで同様のグラフィック広告を展開しており、本国では『Let's rethink how the world works.』というコピーでした。日本では東京都による休業要請解除の前日にあたり、時節に適したポジティブな表現になったのではと思います」。そう説明するのは、同社マーケティングブランド推進・宣伝担当部長植田久美さんだ。
ボディコピーでも「変化は、またたく間に拡がりました。」「ビジネスや人と人との繋がりは少しずつ動きを取り戻しています。」「いま、わずか数ヶ月前よりも人とテクノロジーの距離が縮まったと思いませんか。」「さあ、動き出そう。」といった前向きな表現を用いた。また、これからのビジネスにとって“新しい発想”が求められる7つの切り口を写真とともに紹介している。いずれもIBMが業界・分野別に提供するソリューションを活用できるシーンを描いたものだ。
グローバルの広告活動の一環としての展開であり、本国で用いられたクリエイティブをベースとしつつ各国の状況に応じてローカライズしている。「本国の制作物をそのまま翻訳して世に出すのではなく、国・地域ごとに異なる新型コロナウイルスの感染状況、経済活動への影響、人々のインサイトやメディア接触の変化を踏まえ制作を進めていきました」(植田さん)。
日本国内の担当エージェンシーはジオメトリー・オグルヴィ・ジャパン。IBMは3月以降、完全テレワークに移行し、すべての広告制作はリモートによって進められた。
企業ブランドとして発信が必要だった
本広告の制作に際し、IBMはアメリカで3月に法人、個人を対象に実施した市場調査を参考にしている。ビジネスのシーンはもちろん、個人の生活も含めてコロナ禍の生活においてどんなニーズや課題が生じているかを把握し、それらにIBMのテクノロジーやソリューションがどのように貢献できるのかを検討してきた。
「アメリカは日本よりも感染拡大の時期が遅かったものの、かなり早い段階から『企業ブランドとしてメッセージを出すことが必要』という方針を示していました。過去の大災害や事件などでは広告出稿自体の自粛といった判断もありましたが、今回は先行きが見えない状況下で...