サントリー、ファミリーマート、earth music&ecology、WACKなど話題の広告を次々と世に送り出している権八成裕さん。プレゼンでは頼まれていないのに、毎回「10案」近く出してしまうという。そんな権八さんの企画のつくり方とは?
毎回打ち合わせで10案以上の企画を出す
──いつも企画はどんなところから考えますか。
僕は嘘つけないと言うか思っていることが顔に出ちゃうらしくて、企業のオリエンを受けるときはいつも変な顔というか、しかめっ面をしているらしいです(笑)。クライアントと飲むとツッコまれますよ、あんな顔しないでほしいって(笑)。とはいえ怒っているわけではなく、オリエンの説明が「本当にそうなの、この調査の仕方どうなの、その仮説、あってる?」とかずーっと考えてしまい、その結果、そういう顔になっているらしくて。
その後は、「それ、本当ですか?」とバンバンいろんな角度から質問して、その間に大体1~2案思いつくことが多いです。そうやって質問しちゃうのは、自分が疑問に思うからだけど、クライアントの本音とか勘所を探っているんです。
企画はまずはA4の紙に思いついたことをバーっと手書きでメモとして書いていき、それを打ち合わせの直前に、考えを整理して掘り下げて自問自答しながら字コンテにします。でも、その段階でも「これどうなの?」と自分の企画に対しては半信半疑ですけどね。打ち合わせで営業やスタッフの「ウケ具合」を観察して手応えを確認します(笑)。
自分がCDで仕事を進める場合は、その字コンテが企画の方向性を示すものになります。イメージはかなり明確に頭で思い浮かべるけど、それを人に伝える時に、だいたい絵ではなくて言葉で指示を出していますね。グラフィックにしても僕もイメージを考えて、それをADに指示してつくってもらうことも多いので、ほとんどが1センテンスで伝わるビジュアルになっています。
僕はCDの立場であっても、プランナーとしてでも、毎回の打ち合わせで割と10案くらい企画を出しちゃうんですよね。可能性はできるだけ広げた方が良くて、僕にとっては優先順位の低い案でも、スタッフの誰かに刺さってそこから新案が生まれることだってあるかもしれないし。
ただ、打ち合わせを何回か繰り返すうちに、企画はどんどん増えてしまい、プレゼンの直前に、最後の最後に断腸の思いで10案くらいに絞る …